新ローマ法王、初の復活祭ミサ 海外紙が注目したポイントは?
3月31日、フランシスコ法王の就任後初となる復活祭のミサが、バチカンのサンピエトロ広場で執り行われた。法王は、集まった約25万人の信者の間をオープンカーで回り、車を降りて子供や障害者にキスをする場面もみられた。
法王はミサの後、サンピエトロ大聖堂のバルコニーから演説を行い、「世界中の平和」を呼び掛けた。
海外各紙は、歴代法王とは違い、貧しい人々や障害者、恵まれない人々らの擁護者であろうとする新法王の演説に注目した。
ローマ法王は復活祭とクリスマスの年2回、世界の信徒らへメッセージを発信することが恒例となっている。この中でしばしば平和や世界的な紛争に言及している。
今回、新法王は、イスラエル・パレスチナ間の対立や、マリから中央アフリカ共和国に至るアフリカの抗争のほか、シリア内戦などに言及した。シリアについては、「どれだけ血が流れたのだろうか。政治的解決が図られるまで、あとどれだけの苦しみがなければならないのか」と嘆いた。
また北朝鮮と韓国の指導者に対しては、「意見の相違を克服し、和解の精神が再び続くよう」求めた。北朝鮮が2月に核実験を行い、その後の制裁や米韓合同軍事演習に強く反発し、「朝鮮半島は戦争状態にある」と宣言するなど強硬な態度をとっていることが背景にある。
フランシスコ法王は3月13日の就任以降、慎重な言葉選び、象徴的な行動によって、カトリック教会の優先課題を大きく変えようとしているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は、新法王は就任間もなく堅実なやり方で強烈なインパクトを与え、31日に信者らを失望させなかったと報じた。
新法王は、歴代法王が使っていた公邸には入居せず、バチカンの簡素なホテルでほかの聖職者らと住むことを選んだ。また先週、ローマ市内の少年院で、復活祭前の伝統儀式「洗足式」で、女性やイスラム教徒を含む収容受刑者12人の足を洗った。儀式の対象に女性やイスラム教徒を含むのは初めてで、新法王の「弱者を擁護する」姿勢が示された。
新法王は演説の最後で、世界では今も人身売買や薬物の密輸、天然資源の不当な搾取が横行していると嘆き、利己主義を戒めた。ガーディアン紙(英)は、武力紛争と冷酷な資本主義を同じカテゴリーに置くという意外な展開を見せたと報じた。