キプロス支援策合意 それでも残る懸念とは?

 EUとキプロスは25日未明、キプロス国内の2大銀行の再編で基本合意した。両行の大口預金者は負担を強制されることになる。キプロスはEUから100億ユーロ(約1.2兆円)の金融支援を得られる見通し。
 ユーロ圏離脱の可能性すら指摘された危機的状況は回避されたといえる。

 合意案は、ドイツが提案し一度は却下された、2大銀行の再編案をベースにしたもののようだ。経営が悪化した国内2位のライキ銀行を、通常業務を引き継ぐ優良部門と不良債権の部門に分け、消滅させるという。優良資産は最大手のキプロス銀行が引き受ける。なお両行とも10万ユーロ以下の預金は全額保護される。一方、保険対象外の部分や不良債権を「バッドバンク」に移管し、資産が売却可能になるまで凍結し、無担保の債権者が40%の損失を受けるという内容だ。提案当初は極端すぎるとして却下されたが、預金課税やキプロス経済の破綻よりはましな選択だと見直されたようだ。

【国民がATMに殺到】
 合意案に至るまでは、同国では、銀行の信頼が崩壊する中で多くの人々が預金を引き出そうとATMに並び、銀行の手持ちの現金が激減していたという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、理論的には、商業銀行が預金者による取り付けに直面した場合、中央銀行に資金調達を頼ることができる。しかし、ジャンク債に格付けされているキプロスの場合はその国債をECBが担保として受け付けないため、問題解決への手段が閉ざされているという。2大銀行の発表資料によると、2011年末時点での引き出し可能額は預金全体の78%だったという。

【国民の反発】
 銀行縮小案に対する国内からの反発も健在だ。再編の標的となっているライキ銀行の職員らは「ライキに手を付けるな」と叫びデモを展開しているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。また、最近の調査では91%の国民が無情なEU側の条件を飲むくらいならユーロ圏離脱をするほうが良いと答えていたとニューヨーク・タイムズ紙は取り上げている。キプロスのような小国家の破綻を軽んじて強気に迫ってきたEUに対する怒りは根深いようだ。

Text by NewSphere 編集部