中国の大気汚染問題が長引く理由

中国の大気汚染問題が長引く理由 中国の大気汚染問題が深刻化している。ブルームバーグ紙は、中国の空気中のPM2.5の濃度は、WHO(世界保健機関)基準の40倍を超えると報じている。2030年には、自動車の普及や、石炭需要と消費の増加に伴い、大気汚染がさらに70%悪化するとも予想されている。
 海外各紙は、新体制の対策と石油・電力会社との葛藤、大気汚染便乗ビジネスの趨勢を紹介している。

 中国は、先日の全人代で習近平国家主席、李克強首相による新体制が発足した。習氏が「美しい中国を建設しなければならない」と述べたこともあり、同国環境保護省は、大気汚染対策としてガスの排出量制限を厳しくする方針を発表した。自動車用のディーゼル燃料基準を厳しくする方針も打ち出されている。
 しかし、負担をきらう業界の抵抗は大きいという。実際、ブルームバーグ紙によれば、前回基準を厳しくした際にも、予定より遅れての導入となったという。今回の規制強化でも、欧州並みに基準を厳しくしようとしているが、期限通りに実施されるかは未知数だ。
排ガス規制の順守にも問題がある。中国では、政府の規定を超えてガスを放出する会社が後を絶たないと報じられている。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、大手電力会社らは規定違反の常習犯であるという。今回も制限を強化しても遵守されない疑いが出ている。原因としては罰金の低さなどがあげられている。

 こうした中、大気汚染問題をビジネスチャンスととらえている企業や投資家もいると、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。既に環境関係の企業の株価は急上昇しているという。
 同紙によれば、特にマスク市場などの消耗品市場は異例のスピードで成長を遂げている。空気清浄キット市場は、1年で36%成長し、2016年までには150億円以上の市場になるという。
 ただ同紙は、加熱しすぎる市場に警鐘を鳴らしてもいる。過去にソーラーパネル産業でトップに立った会社が倒産してしまった事件などを挙げ、ただ単に環境に関与しているという理由で株を買うことのリスクにうれ、そういった事業に投資している外資系企業の株を買うなどの選択を勧めた。

Text by NewSphere 編集部