中国、武器「輸入」国から「輸出」国へ変わった理由とは?

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は18日、2008年~2012年の中国の兵器輸出量が、前の5年間よりも162%増加し、イギリスを抜き5位に入ったと発表した。シェアとしては5%であり、米国(30%)、ロシア(26%)、ドイツ(7%)、フランス(6%)に次ぐ。中国の輸出上位トップ5入りは、86~90年以来となる。中国の輸出兵器の55%を購入しているのはパキスタンで、それに次ぐ得意先はバングラデシュとミャンマーである。
 なお、輸入面でのトップ3はインド・中国・パキスタンとなっているが、中国の兵器輸入量は前の5年間よりも47%減少している。

 フィナンシャル・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国製兵器の品質が上がり、安価な割に高性能の兵器として、兵器市場での競争力を増していると解説した。同時に、実用レベルの兵器を自前で賄えるようになったために輸入の必要が薄れたと分析している。実際、昨秋には国産J-15戦闘機が空母遼寧への離着艦を成功させている。また、米国以外で唯一となる、J-31ステルス戦闘機の試作品も登場している。

 中国の軍事予算は2001年から2011年にかけて、年平均11.8%の成長ペースであった。フィナンシャル・タイムズ紙によると、国力からすればまだ兵器輸出が少ない部類であり、この分では2025年に米国に追いつくという見方もあるという。
 中国は、近隣へ軍事的脅威を与える意図を否定し、単なる経済発展の結果と主張しているが、実際には中国の軍事力・技術力強化は、中国・パキスタン陣営と対立するインドなど周辺諸国の軍拡を促していると報じられている。国際戦略研究所のデータによると、2012年、アジア全体の防衛費は緊縮財政に苦しむヨーロッパを追い抜いた。SIPRIのデータでも、例えば2003-2007年期には世界4位の武器輸入国であったギリシャは今回、輸入を61%減らして15位に落ちている。

Text by NewSphere 編集部