なぜ中国は北朝鮮「制裁」強化に賛成したのか?
国連安保理は7日、2月12日に核実験を強行した北朝鮮に対する制裁決議を、全会一致で採択した。決議案は米中が協議して作成した。決議採択を受け、日本各紙(朝日・読売・産経)はその有効性と課題について報じている。
【決議のポイント】
朝日新聞によると、主な内容は以下のとおり。これまでより強化された部分には、(強)と記した。
◆法的拘束力のある国連憲章第7章41条(非軍事措置)に基づく
◆2月の核実験を最も強い言葉で非難
◆核兵器・弾道ミサイル開発につながる金融取引の凍結・停止を義務化(強)
◆禁輸品の疑いがある貨物の検査を義務化(強)
◆制裁対象に武器関連の2団体、3人を追加(強)
◆北朝鮮外交官の「監視」強化、不法行為に対しては国外退去も(強)
◆さらなる発射や核実験には、さらなる重大な措置を取る
各紙とも、今回の決議は過去3度の制裁決議を大幅に強化した内容と紹介。特に、核・ミサイルにつながる「金融取引の凍結・停止」や、違反の疑いがある船舶などの「貨物検査」の義務化に踏み込んだ点が注目される。
【中国の反応】
今回の決議で強化された部分の多くは、これまでは中国が反対してきたものだ。そのため、中国の変化について詳しく報じられている。
朝日新聞は、中国は通関検査の厳格運用などで北朝鮮に事前に圧力をかけていたことを紹介。「中国も対応を変えざるを得ないという強い警告」という専門家の分析を取り上げた。また12月のミサイル発射に対する制裁決議では制裁強化に反対していたものの、北朝鮮が直後に核実験を強行したことで面目を失い、“これ以上抵抗しにくい状況が生まれた”と読売新聞は分析している。
米中協議の詳しい内容はわかっていない。ただ、中国国連大使が「採択だけでは不十分だ。我々は完全に履行したい」と述べたことや、北朝鮮の行動に批判的な中国のネット世論が目立つことなどを朝日新聞は指摘し、中国の変化を示唆した。
対して読売・産経両紙は、中国の抵抗を押し切って合意にこぎ着けた米国を評価する論調だ。産経新聞は、“中国が本気で制裁を実行するか”が最大の問題と指摘し、北朝鮮のこれ以上の暴挙を阻止するためにも、“食糧とエネルギーへの制裁措置に思い切って踏み切るべき”と求めた。
【北朝鮮の反応】
北朝鮮は、制裁決議に対して強く反発。米国への先制核攻撃の可能性にまで言及している。さらに、 11日から「朝鮮戦争の休戦協定を完全かつ全面的に白紙化する」と初めて表明した。
産経新聞は、いずれも“武力による威嚇”であり、各国は脅しに怯むことなく制裁を履行すべきと主張した。ただ、追加の挑発の可能性はあるものの、韓国には報復などで緊張を高めないよう求めた。