大富豪、「1億ドル」の火星旅行計画 5年後に実現できるのか?

 米国の富豪デニス・チトー氏は27日に、自身が設立した非営利団体「インスピレーション・マーズ財団」のプロジェクトとして2018年に火星旅行を実施する計画を明らかにした。大規模プロジェクトに対して、自身も1億ドルの私財をつぎ込む考えのようだ。
 海外各紙は同氏の熱い思いがあらわれた今回の発表を報じている。

【まるで現代版アダムとイブ?】
 発表された計画によると、男女2名を乗せた宇宙船は2018年1月5日に地球を出発し、火星の約160キロ付近へ接近。その後、着陸しないままUターンして地球に帰還すると各紙は報じている。目標日程は太陽活動の中で、地球と火星が最も近づく年であることから設定、往復で501日間の旅程となる。テレグラフ紙(英)によると、米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ社のファルコン9ロケットを使用する可能性が高く、17立方メートル程度の限られた居住スペースとなるもようだ。17ヶ月もの間、狭い空間で様々なストレスと危険にさらされるため、乗組員は夫婦が選ばれる可能性が高いとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。

 予算やその調達は確定していないようだが、チトー氏は最大1億ドルの私財を投じる意向を示しているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。また、放映権の販売やスポンサー募集などを募り調達していく方針のようだ。

【科学的意義よりそのチャレンジを賞賛】
 テレグラフ紙は、この計画が実現したとしても、火星に関する新発見は少ないだろうが、有人の宇宙旅行としては史上最長になると報じた。また、これはチトー氏が「米国や技術発展のために慈善で行なっているプロジェクト」であり、同氏は「チャレンジ精神に富んだ勇敢なヒーローだ」と称賛されているとフィナンシャル・タイムズ紙は業界関係者らの声を取り上げた。

 チトー氏もこの計画を「米国の使命」として「 宇宙探査は、米国の発展と繁栄に向けた触媒だ。子供たちに夢を与えるためにも、計画を実現させたい」と意気込みをみせており、学生らを元気づけ、米国が宇宙開発で優位に立っていることを示す好機と捉えているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部