インドの火事で19人が死亡。「草の根」知事は改革を進められるのか?

 27日早朝4時ごろ、インド・コルカタにあるスーリアセン市場の建物が爆発、炎上し、19人が死亡した。消防隊は、爆発の原因として回路のショートやたばこなどを挙げているが、今後詳しい調査が行われるようだ。この建物には入口が一つしかなく、他の出入り口はすべて閉められていたため、犠牲者は閉じ込められて窒息死や焼死に至ったという。現在大学病院で20人ほどが治療を受けているが、うち8人は重傷と報じられている。
 海外各紙は、インド全体に広がる防災意識の低さに警鐘を鳴らし、対策に向けた行動をとる人々の動きに注目して、この事件を報じた。

 今回のような火災事件は、インドでは近年頻繁に起きているという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は以下の様な事件を掲載した。

・2012年3月  コルカタの老舗市場にて火災。死者、けが人はゼロ。
・2011年12月 大学病院にて火災事故、多くの患者を含む80人以上が死亡。
・2010年3月  中央公園近郊の建物にて火災。24人が死亡。

 このような事件が相次ぐ理由として、ワシントン・ポスト紙は、インドの防災意識の低さを指摘した。ほとんどの建物に非常出口がなく、避難訓練もほとんど行われないという。さらに、消火器は設置されていても、手入れも使い方も知られておらず、使用されることはまずないとも報じられている。

 コルカタが位置する西ベンガル州のバネルジー知事は、そんな防災意識の低さに警鐘を鳴らしてきた。2011年、30年以上与党だった共産党を破った「草の根会議」派のバネルジー女史は、「30年以上もこの州を管理していた政府は、建物に何の安全基準も持たせなかった。」と批判。2011年の事件後には、公共建築の安全性向上を約束していた。

 安全対策を掲げた知事の決意にもかかわらず起きてしまった悲劇。知事は、警察、消防、市当局に対し、事故原因と再発防止のための行動をまとめた報告書の提出を求めた。今後有効な対策を進められるのかどうか注目される。

Text by NewSphere 編集部