囚人「拷問死」疑惑で高まる反イスラエル感情 関係各国はどう対処するのか?

 イスラエルの刑務所に拘束されていたパレスチナ人男性が獄中死した。これは拷問によるものという見方が広がり、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸各地で、住民の抗議デモが激化。また、イスラエル国内のパレスチナ人受刑者約4500人が一斉にハンガー・ストライキを開始した。

【死亡男性の検死結果】
 フィナンシャル・タイムズ紙によれば、死亡したのはアラファト・ジャラダット氏。彼は2012年11月にイスラエル側への投石に関与した疑いで18日に拘束され取り調べを受けていた。イスラエル側は、刑務所内で心臓発作を起こしたと話すが、パレスチナ自治政府のカラケ政治犯担当相は「検視の結果、死亡は拷問によるものだった」と主張し、イスラエル側の供述に反論。国際的な調査を要求したと報じた。
 また、パレスチナ人権団体アルハクのジャバリン氏は「一番の心配は飢餓によってジャラダット氏のような犠牲者が増えることだ」というコメントを紹介し、ハンガー・ストライキによるさらなる被害を警告している。

【デモの激化】
 この件でパレスチナ住民の間で反イスラエル感情がますます高まり、デモが激化するとニューヨーク・タイムズ紙は懸念する。ヨルダン川西岸では、イスラエルに収容されるパレスチナ人囚人の釈放を求めるデモが頻発しているが、今後ますますのイスラエルへの反発を強め、デモが過激化する可能性もあると報じた。イスラエル軍幹部は「抗議活動が第3次インティファーダ(反イスラエル闘争)に発展する可能性がある」と指摘し、パレスチナ側にデモの鎮圧を求めていると報じた。

【アメリカへの要求】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙はパレスチナ側からアメリカへの要求について注目する。パレスチナ自治政府のカラケ政治犯担当相は、来月中東訪問を予定しているオバマ大統領に対し、イスラエルに政治犯釈放を促すように要請していることを報じた。カラケ氏は「平和的な訪問を望むなら、イスラエルにパレスチナ人政治犯の釈放を促すべきだ。」と警告、両国の深刻な関係悪化の修復に協力を求めていると報じられた。

Text by NewSphere 編集部