ローマ教皇に続きスコットランド大主教も辞任、関連はあるのか?

 25日、英国スコットランドのカトリック最高位、キース・オブライエン枢機卿が、セントアンドリュースおよびエディンバラ大司教職の辞任を表明した。枢機卿の位には留まるが、ローマ教皇ベネディクト16世の退位を受けて次期教皇を選出する「コンクラーベ」会議は欠席するという。大司教の辞任も、「たとえ破門されていても」コンクラーベでの投票権を持つとされる枢機卿がコンクラーベを欠席することも異例だ。

 オブライエン枢機卿は公式にはまもなく75歳になること、また蜂巣炎(皮膚病)と痛風の不安から、昨年11月に教皇に辞意を伝え、2月18日に受理されていたとされる。
 しかし各紙は、枢機卿が配下の神学生に「不適切な接触(性的虐待)」をした、という英オブザーバー紙の報道が原因だとみている。オブライエン枢機卿は同性婚反対の過激な主張や、一方で聖職者の妻帯を認めるべきだとする主張などで話題を集めてきた人物だ。「1980年代に遡る告発が、2月11日の教皇辞意表明の1週間前、3人の司祭と1人の元司祭によって出された」とのことであり、見方によっては教皇の退位との関連さえ疑われるであろう。

 オブライエン枢機卿もバチカン(カトリック総本山)も訴えを否定している。オブライエン枢機卿は「私はローマにおいて、メディアの注目が私にではなく、教皇ベネディクト16世猊下とその後継者に集まらんことを望むものであります」などと述べている。枢機卿がスコットランド独立の動きを支持していたためか、独立派議員などからは擁護的な声も出ている。
 しかしバチカンは内部調査結果について、次期教皇以外には非公開とした。各紙は、他の枢機卿にも広く同様の行為の疑いが掛かっていることや、特に何人かを名指ししてコンクラーベを欠席すべきだと批判する主張を伝えている。

 バチカンには昨年5月、財務上の不正疑惑「バチリークス・スキャンダル」も持ち上がっており、さらにその疑惑浮上のきっかけも教会内の権力闘争と噂され、カトリック教会の権威は揺らいでいる。またコンクラーベは通常、教皇退位(死去)後15~20日を待って開催されるが、ベネディクト16世は関連規定を改定してまで開催の前倒しを図っていると報じられているのも尋常ではない。これにより、28日付けの教皇退位予定に対し、コンクラーベは3月初めにも開催される見込みだという。

Text by NewSphere 編集部