議題は円安叩き? G20会合せまる

 15日および16日、モスクワで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。各紙は共通して、各国が輸出促進のため競って自国通貨を下げようとする「通貨戦争」状態、特に昨年末からの急激な円安に、関心が集まるものと見ている。

【アメリカの“支持”】
 米国財務省のブレイナード国際問題担当次官は、「我々は、成長を再活性化しデフレを終わらせるための日本の努力を支持します」と発言。ただ、「市場プロセスを機能させるためには、為替レートは市場動向を反映させておく必要があります」とも述べ、為替介入には釘を刺した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、いずれにせよ、白川総裁が早期辞任を発表した日銀はおそらく今週の政策会合で大きな動きはとらず、また日銀が何もしなくても円は下がり続ける(年末までに1ドル95~100円)と予測している。

【G20の課題】
 さらに同紙は、日本はG20において各国からの批判を重視しないとの見方を紹介。フィナンシャル・タイムズ紙は、G20は各国のせめぎ合いへの対応力を欠いており、「窮地に立たされている」と評した。各紙とも、G20は各国の合意を重視する都合上、為替に関して最終的にそれほど思い切った声明は出せないだろうという論調だ。

【懸念されるリスク】
 CNNは、国際金融協会(IIF)から議長国ロシアのシルアノフ財務相への書簡を紹介した。
 いわく「為替レートでの不和」の影響を警告し、「市場の期待を導くためのコミュニケーション戦略において、協力強化に焦点を当てるべき」と求めている。CNNによれば、これは、例えばある国が銀行への公的支援停止を検討するなど、各国間の政策ギャップに為替市場が翻弄され乱高下を繰り返している点を憂慮している、とのことである。
 またIIFは、各国の金融規制策の足並みが揃っていないこと、例えば米国、ドイツ、フランス、英国がみな、銀行からのハイリスクな投資業務分離策について「わずかに異なるバージョン」のルールを策定しようとしている点を懸念しているという。このような点に関してはフィナンシャル・タイムズ紙も、赤字支出を引き締めようとする国とそれに反抗する新興国といった構図や、あるいは多国籍企業が低税国へ利益を移して税を逃れるのを防止しようとの話題が、今回のG20で挙がるのではないかと見ている。

Text by NewSphere 編集部