アメリカの銃規制法案、どこまで合意できるか?

アメリカの銃規制法案、どこまで合意できるか? アメリカのオバマ大統領は4日、ミネソタ州ミネアポリスの法執行官(警察官・保安官)集会で演説し、上院で審議に入りつつある銃規制法案の推進を訴えた。ミネアポリスは1990年代、銃器犯罪による死亡事件の多発を受けて独自に銃規制強化の取り組みを進め、犯罪削減に成功した都市であり、大統領はこの事例を、銃規制に意味がある「証拠」として示す狙いとみられる。大統領は、「国民の圧倒的多数」が購入者確認強化を支持しており「民主党員も共和党員もともに」規制法案に取り組んでいるとして、「実現できないはずがありません」と語った。

 昨年12月に児童・教師26人が死亡したコネチカット州の小学校銃乱射事件で、アメリカ、特に民主党内では銃規制を求める声が強まっている。大統領が目指す銃規制措置は、軍用タイプの「攻撃的」セミオート銃器の販売禁止、弾倉容量の制限、購入者の犯罪歴や精神疾患性などの来歴確認拡大、と3つの柱からなる。このうち、現在全銃器販売の60%しかカバーできていないとされる来歴確認拡大については、世論調査によると92%が支持しているが、弾倉容量制限は支持率63%となっている。特定種類の銃器の販売禁止については支持率53%であり、全米ライフル協会などの銃擁護派は勿論のこと、民主党の指導層内にさえ慎重論が根強い。また法案が民主党優勢の上院を通過しても、共和党優勢の下院においてさらに苦戦するとも想定されている。

 そこで民主党は、来歴確認拡大のみに焦点を絞って支持を訴える作戦に移りつつある。しかしミネアポリスのライバック市長などはこの妥協を嫌い、「ここでは人が死に絶えようとしているわけですよ。ワシントンの、これをゲームか何かだと思っている一部の方々のデタラメなお答えには、私は納得できませんね。」「努力を完遂し、こうした問題に際してあまりに頻繁に沸き過ぎる弱虫根性を打破すること。誰一人そこから逃げるべきではないと考えます」などと、厳しく批判してもいる。

 なお、攻撃的銃器の禁止は、実際は1994年、クリントン政権下で実際すでに成立したことがある(2004年に法律失効)。また弾倉容量制限についても、通常いわゆる攻撃的銃器には20連以上の弾倉が使用されるところ、ニューヨークではすでに7連装以下に制限されている。

Text by NewSphere 編集部