大黒柱ドイツが景気後退か ヨーロッパへの影響は?

大黒柱ドイツが景気後退か ヨーロッパへの影響は? ドイツの昨年第4四半期GDPが、前期比0.5%のマイナス成長であったとみられている。通年では0.7%のプラス成長(営業日数調整すると0.9%)となるが、2010および11年、ともに3%以上の成長であったことから比べれば大きな減速である。各紙は、ユーロ圏経済の先行きの不透明さから企業が設備投資を控えたことが主原因とみている。なお政府の公式発表は16日に予定されている。

 しかし各紙は、好材料が多いことを挙げ、ドイツはすぐに成長に復帰すると予想している。失業率も金利も低く、中央と地方を合わせた政府財政は、2007年以来初めてGDP1%相当の黒字を達成した。家計消費は、前年より低いながらも0.8%増加。政府支出も各国の緊縮を尻目に1%増加。輸出は中国需要に牽引されて4.1%増加、輸入は2.3%増加で、貿易黒字である。低迷していた購買担当者指数も、12月は8ヶ月ぶりに事業拡大を示唆。夏と初秋に急落した機械受注の指標も、10月から11月に回復したという。政府は、2014年には1.6%のGDP成長を見込んでいる。

 ドイツはユーロ圏全体の牽引役であるべきであり、自国だけの現状に満足せず、さらにユーロ諸国からの輸入を増やして景気回復を助けなければならないとの声もある。だがフィナンシャル・タイムズ紙は、11月のユーロ圏全体の貿易黒字が137億ユーロで、前年同期の49億ユーロに比べ、すでに大幅増であると指摘した。またスペイン、ポルトガル、ギリシャは2011年の同期間よりも貿易赤字が小さくなり、イタリアは貿易赤字から黒字に転じている。

 ニューヨーク・タイムズ紙はむしろ、緊縮政策を3年延長するとしたイギリスや、GDP4.5%の2012年財政赤字目標達成に失敗したとみられる(4.8%と予想)フランスを不安視している。
 また、ポルトガル中央銀行が経済見通しを下方修正した事も報じた。同紙は、「ドイツはヨーロッパの残りの部分を牽引する発電所だという考えは、少しばかり神話じみた馬鹿正直さであります」「我々はまだ森を抜けだしていません」など、ドイツ経済について専門家の比較的慎重な見方も伝えた。

Text by NewSphere 編集部