米財政問題で妥結した共和党、反撃は3月か?

 アメリカ「財政の崖」問で、民主党オバマ大統領は、20年ぶりの富裕層増税に共和党を合意させた。オバマ大統領側も幾つかの譲歩をしており、また国債発行上限の増額などの対立も残っているが、基本的に大統領側の勝利と評価されている。一方、党の理念に反する妥協をすることとなった共和党内では、指導部の弱腰について不満が発生している状況だ。

 今回の合意では、所得税の最高税率が35%から39.6%へと上がるなど、富裕層にとって大幅な増税となる。一方で貧困層や中産階級の税額控除や、失業給付金、クリーンエネルギーへの税額控除は延長される。また支出削減はほとんど含まれない。ただし大統領側も、ほとんどの世帯に適用されている給与減税の有効期限切れを黙認、また「富裕層」の境目について(遺産税、および最高税率の対象水準という観点で)、夫婦で25万ドルから45万ドルへと引き上げるなど、譲歩を決断した。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、「財政の崖」を前にして共和党が最終的に妥協せざるを得なかった状況は、むしろ大統領・民主党側にとって、勝利の実績を積み上げるチャンスだったとの論調である。しかし同紙は、大統領が今、対決に及ぶリスクを取るべきだったかどうか、疑問とする向きもあると報じている。次に手詰まりとなった時は増税の脅威がなく共和党はより強固かもしれず、今回の合意を取り消す要求をするかもしれない、という。同紙は未合意の国債発行上限の問題が、現在の財政状況からして、おそらく3月には持ちあがってくると予想している。またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、3月1日に発効する予定の全面的な歳出削減や、3月末に期限が切れる、連邦政府へ資金を供給する一時支出法案についても触れている。

 一方フィナンシャル・タイムズ紙は、最後の交渉に臨んでいた共和党の上院少数党院内総務ミッチ・マコーネル議員が敗北したとみて、「マコーネルの増税」と呼ぶ共和党議員の声を紹介した。また、第113議会として新議会がスタートした様子に焦点を当てるウォール・ストリート・ジャーナル紙は、再選確実だったはずの共和党のベイナー下院議長に対して、議長指名投票で共和党内から造反が発生し、再選が危うかった事態を報じている。それぞれ自らの公約を掲げて当選してきた共和党議員たちは簡単に妥協に従うものではなく、一部の議員は「迫り来る予算の戦い」の先を見据えて、その他の立法優先事項に取り組み始めている、と同紙は伝えた。

Text by NewSphere 編集部