米「財政の崖」土壇場で回避 2期目のオバマ政権はどうなる?

米「財政の崖」土壇場で回避 2期目のオバマ政権はどうなる? 民主・共和両党は1日の上下両院で、財政の崖回避をめぐる法案を賛成多数で可決した。オバマ大統領の署名を経て成立する。増税は富裕層に限定され、歳出の強制削減も2カ月延長された。しかし連邦債務の法定上限引き上げや財政赤字削減策など、多くの重要課題が未解決のままだ。
オバマ大統領はホワイトハウスで声明を発表し、「2%の富裕層向け増税を実施する法案に署名する。景気後退を引き起こすおそれのあった中間所得層への増税も回避できた」と強調した。想定されていた期限を過ぎてからの合意となったが、両党の土壇場の交渉はひとまず終結した。
 海外紙は、数ヶ月以内に浮上する喫緊の財政課題、2期目のオバマ政権の動向について分析した。

 今回の法案で年収45万ドル超の世帯の最高税率が39.6%に引き上げられ、オバマ大統領が主張してきた富裕層増税が実現した。しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「4分の3以上のアメリカの世帯が2012年レベルより税負担がふえる」というアナリストの見解を掲載した。フィナンシャル・タイムズ紙も給与税減税が失効することを指摘し、「2013年の税は2012年に比べて上がる」という専門家のコメントを掲載した。

 そのほかにも政府が数カ月後に直面する課題は多い。歳出の強制削減の延長は2カ月後に失効し、連邦債務の法定上限引き上げも2~3カ月以内に議論する必要がある。3月末の予算編成とあわせて、再び政府が機能停止になるおそれがあるとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。

 この状況下でオバマ大統領の2期目の政権が今月スタートする。経済再生に加えて移民制度改革、気候変動、エネルギー問題、銃規制など、未達成の公約が山積みだ。フィナンシャル・タイムズ紙は、財政の崖をめぐる対立でオバマ大統領とベイナー下院議長、上院内ではリード民主党院内総務とマコネル共和党院内総務の関係は悪化しており、2期目のオバマ政権は厳しい運営を強いられるだろうとみている。

Text by NewSphere 編集部