【2013年注目ニュース】4.中国・習近平体制の経済・外交政策

【2013年注目ニュース】4.中国・習近平体制の経済・外交政策 2012年11月の第18回共産党党大会にて、習近平氏が、党の最高職である総書記と、軍の統帥権を握る党中央軍事委員会主席に選出された。これにより、「院政」を敷くのか注目されていた胡錦濤前総書記は、引退することとなった。習氏が9月に予定されていた外国要人との会談を急遽キャンセルするなど、中国政治は報道だけでは窺い知れない部分もあり、新指導部の経済・外交・内政方針がどうなるか全貌はまだつかめていない。
 2013年、特に日本にとっては、外交・経済・安全保障等、様々な面で非常に重要な中国の動向について、直近の動きを整理する。

【中国経済と対内政策】
 中国の1月度貿易統計は輸出入とも市場予想を下回る鈍化を示し、黒字幅も予想に届いていない。海外各紙は、今後も経済成長を続けていくためには、内需の拡大が必須と指摘している。この点については、習氏も「改革開放」という方針に準じる姿勢を示し、党大会でも「国内総生産(GDP)と都市部・農村部住民の1人当たりの所得を2010年の2倍にする」という新たな目標が掲げられた。ただ、改革開放政策の副作用ともいえる、国営企業の専横や上層部の汚職、国内に広がる深刻な格差という問題に対し、具体的にどう対応するかはまだ明確でない。民衆の不満が募っていることを受け、習氏が「庶民派リーダー」や「新生共産党」のイメージ作りをしていることもあり、一定の期待を注ぐ報道もみられる。
 また、上記のような課題に対する不満が体制批判に発展・拡大することを恐れてか、宗教組織・活動家を厳しく取り締まっている。12月には、終末思想を流布する教団「全能神」のメンバーを1,000人以上逮捕したと報道された。ただこうした手法に対しては、弾圧が厳しいほど党への反感と結束が増すため「非生産的」と評する専門家もいる。

【対日姿勢】
 最も注目されるのは対日姿勢だろう。
 日本の尖閣国有化を受け、9月には大規模な反日デモが勃発。デパートの商品強奪や、工場の焼き打ちなど、その被害は100億円規模だと報じられている。自動車の生産・販売やも激減し、観光業へのダメージも大きかった。安全保障面では、尖閣周辺の領海への侵入が繰り返され、12月には同地域において中国機の領空侵犯が行われた。これは記録上初めてと報じられている。領空侵犯は国際法上、即時実力行使による排除が認められるものであり、事態の深刻さが浮き彫りになった。
 こうした動きは、中国の長期的な海洋戦略の一環とみられている。南シナ海でフィリピンなどと領土問題が生じていることと同じ文脈だ。もう一つは、前述のような国内問題から国民の目をそらすために、対外的に強硬姿勢をとっているという見方だ。実際、領空侵犯は南京大虐殺75周年式典と足並みを揃えて強行され、国民の愛国心をかきたて、国威を発揚する狙いが示唆されている。
 なお、安倍首相に対しての中国報道については、選挙時には「タカ派」として警戒するような論調から、当選後は、「現実主義者」として対話に臨むだろうといった比較的冷静な論調に変わりつつある。強硬姿勢は崩さずとも、落とし所を探る意図ともいえる。こうした中国の動きとともに、日本がどう対応するかについても注視していく。

Text by NewSphere 編集部