財政の崖をめぐる交渉、進展せず。回避策はあるのか?

 財政の崖交渉がクリスマス休暇で中断している。
 ベイナー下院議長は20日、年収100万ドル以上の世帯への増税を認める代替案(プランB)を示したが、共和党内で十分な支持を得られず採決を断念した。
 オバマ大統領は21日の声明で、議会は緊急措置法案をつくり、広範な財政赤字削減計画を延長すべきと述べた。大統領は、法定債務上限の引き上げや、歳出・社会保障費削減については詳細に触れなかった。
 海外各紙は財政の崖をめぐる交渉が進展するかについて懐疑的に報じた。

 ベイナー下院議長の「プランB」の失敗で、共和党内の分裂が露呈した。フィナンシャル・タイムズ紙は、11月の大統領選での敗北で、共和党は、妥協しようとしない政治を放棄するときだと主張する者と、主義を掘り下げて守るときだと主張する者に分かれていると報じた。多くの共和党員は、高齢の白人男性になり過ぎた党を再構築するときだと言うが、プランBの失敗で、共和党内の草の根活動家からワシントンの有力グループ、一般議員までが変化に強く反対していることが明らかになったと伝えた。同紙は、「財政の崖」の期限が近づくにつれ、共和党の苦悩は悪化するばかりだと報じた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、次の動きは民主党主導の上院から出るのではないかとみている。世論調査では、財政の崖に陥れば共和党が民主党より非難されるという結果が出ているため、民主党の交渉力は期限が近づくにつれ強まりそうだと報じた。
 ニューヨーク・タイムズ紙もまた、上院の動きに注目した。上院の一部の共和党員は上院指導者らに、会議が再開されたら、たとえ富裕層増税、歳出削減が延期されてもオバマと合意するよう求めている。上院は下院と違い余り分裂していないため希望はあると、同紙はみている。また、上下院の共和党指導者は増税案に反対する保守派が障害になっていると分析した。

 そのほか各紙は、遺産税の引き上げや中間所得層を打撃する代替ミニマム税など、両党が直面している課題は山積みだと分析している。

Text by NewSphere 編集部