大量弾圧進む中国「全能神」教団、生き残りの理由

大量弾圧進む中国「全能神」教団、生き残りの理由 「2012年12月21日は世界最後の日である」とする終末思想を流布する中国の「全能神」教団は、当局により約千人が逮捕された。ただし同教団は、2000年に中国当局から「邪教」と認定されて以来、厳しい弾圧を受けているにもかかわらず、一説には百万人とも言われる信者数を維持していると報じられる。
 海外各紙は、弾圧を生き残る教団のシステムについて注目した。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、教団の危機管理の方法について触れている。それによると、教団では迫害に備えて、身元が分かる本名で呼び合うのではなく、「小さな白ウサギ」などというコードネーム(ニックネーム)を使用しているという。中国共産党を意味するコードネームは、「大きな赤い龍」である。フィナンシャル・タイムズ紙は、このようなあり方が、革命成功前(1949年以前)の中国共産党によって取られたシステムに酷似していると論じている。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、迫害が強まれば強まるほど、終末が近い証拠であると主張するあり方に注目している。同紙によると、信者が迫害を神の試練とみなしているため、弾圧を受けるとますます強固に教団を信じるようになると、「610オフィス」(「邪教」を取り締まるために中国共産党によって設立された非公然の組織)の幹部が述べているという。また、ニューヨーク・タイムズ紙は、中国政府の戦術をまったく「非生産的」であるとするカナダ・モントリオール大学教授の意見を紹介している。弾圧を受けることによって中国共産党を追放しようとする姿勢に転じる教団もあるからだ。

 教団が主張するマヤ終末論をベースにした映画「2012」は、3年前中国で大ヒットした。フィナンシャル・タイムズ紙が信者に取材したところによると、教団は、この映画から終末理論を取ったのだという。ニューヨーク・タイムズ紙によると、実際、教団がマヤ終末論を唱えだしたのは、映画が大ヒットした直後のことだという。なお、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国のみならず、アメリカにおける「終末論」の影響力の強さについて報じている。それによると、経済の崩壊や天災、終末の到来を案じる多数の人々が、サバイバルキットや保存食、シェルター、拳銃を購入しているという。このようなサバイバル産業部門は、電池や懐中電灯などまで含めて、ここ数週間で急成長していると同紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部