米、シリア反政府勢力を公認。だが思い通りになるか?

 オバマ米大統領は11日、シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合」を正統な代表として承認した。オバマ大統領は同連合を、「今や十分に包括的であり、シリアの人々を十分に反映し代表し、アサド政権と違ってシリア国民の正当な代表者と考えられる」と発言し、「大きな一歩」と評した。翌日には、モロッコで80ヶ国以上が反体制派への支援について会談することになっており、英国はじめ同盟各国はすでに支持の態度を表明していたため、今回の意思表示は予想されていた事ではある。
 しかし各紙は、これまで公式には傍観的立場であったアメリカの支援を「遅すぎ、少なすぎ」と考え、不満を抱いているとも伝えている。

 一方で、オバマ大統領は「アサド大統領との戦いに参加している人全てに、我々は好感を持っているわけではありません」とし、反政府勢力のうちでも清廉ぶりと大きな戦果で知られるイスラム武装勢力ジャブハト・アルヌスラを、アルカイダと関わりのあるテロ組織と認定した。各紙は、反乱軍が優勢となりつつある戦況(ただし、業を煮やした大統領が化学兵器使用に踏み切る可能性も指摘されている)の中、政府転覆の実現後の政治も考慮して、イスラム過激派を反乱軍主流から排除しておく意図であろうと解説している。ただ、ニューヨーク・タイムズ紙は、前述の不満の中、これがかえって反政府勢力を「イスラム戦士から非暴力派まで」団結させる可能性もあると指摘した。

 また、今回の紛争には政府側・反政府側とも民兵組織が多く関わっており、アメリカはこれら民兵組織の幾つかも同様にテロ組織認定した。これについてウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これら民兵組織の関わるシリア紛争が、イスラム教内のシーア派対スンニ派などの代理戦争の様相を呈しており、たとえ政府転覆が実現してもこれら民兵組織間の戦闘やテロ活動は終わらないと指摘している。

Text by NewSphere 編集部