オバマ、ついにトップ会談-「財政の崖」回避に向けたギリギリの攻防-

オバマ、ついにトップ会談-「財政の崖」回避に向けたギリギリの攻防- オバマ大統領とベイナー下院議長は9日、財政の崖をめぐり、ホワイトハウスで非公式に会談した。両氏の報道官は、会談の詳細については公表しないが、「両者の連絡ラインは引き続き開いている」という同じ内容の声明を発表した。両氏が顔を合わせるのは、3週間前の大統領と議会指導者らとの会談以来、初めてとなる。
 オバマ大統領は富裕層増税を訴える国民キャンペーンを続けており、10日にはミシガン州のダイムラー工場に向かい、自身のバランスのとれた妥協案を訴えるとみられる。
 海外各紙は、オバマ大統領の国民への歩み寄り、共和党内部でみられる一部有力議員の譲歩の動きに注目し、年明けの財政の崖まであと3週間に迫った両党の動向を見張っている。

 両氏による1対1の財政赤字に関する会談は、2011年夏以来となる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、オバマ大統領は2011年の債務協議から教訓を得て、今回は逆の行動をとると仮定している。また、大統領側は、国民と協力することが議会共和党を妥協させる最重要戦略だと考えていると報じた。しかし、給与税減税の延長や学生ローン利率をめぐる議論で同じような戦術を使ったが、今回の財政の崖をめぐる議論では、危険性ははるかに高いと指摘した。
 また同紙は、2011年の債務協議と異なる点として大きく2点挙げている。1つは、オバマ大統領が選挙サポーターの膨大なメールリストを利用していること。大統領の側近は今回、ツイッターなどのソーシャルネットワーキングサイトを最大限に駆使している。もう一つは、ホワイトハウスはオバマ大統領が再当選したことで強い立場にあると考えていること。しかし一部の共和党員は、昨年より大統領が強い立場にあることは認めているものの、彼が思うほどではないと思っていることを追記した。

 一方、共和党内部では、財政の崖交渉を進めるため、一部の有力議員が富裕層増税に反対することをやめると示唆している。そうすることで、メディケアやメディケイドなどの給付金制度の削減問題に交渉をシフトしていくのが狙いだ。フィナンシャル・タイムズ紙は、共和党はオバマ大統領に圧力をかける好機を、彼らが来年早々予定している、国の借入能力や債務上限を引き上げるための選挙としていると報じた。

 このような状況の中、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が「そのような不作為が、いまだ脆弱な米国の経済が直面している最も深刻な脅威だ」と警告したと、ニューヨーク・タイムズ紙は報じた。ラガルド専務理事はオバマ大統領の言葉を使って、歳入増と歳出削減の「バランスのとれた」合意を求めた。また、アメリカの「プラグマティズム(実用主義)」が広まり、最悪の結果を回避するという暫定的な見方を示した。

Text by NewSphere 編集部