中国船、ベトナムの海底ケーブルを切断―中国の意図は?―

 3 日、ベトナムの国営石油ガスグループ(ペトロベトナム)は、南シナ海の自国領海内で活動していたベトナム船のケーブルが、中国船によって切断されたことを明らかにした。同社によると、事件が起きたのは先月の 30日である。ベトナム船が、同国コンコ島から南東 43 マイルの沖合で地震調査に当たっていたところ、多数の中国船に取り囲まれ、領域から立ち去るように警告したにもかかわらず、 2 隻の中国船にケーブルを切断されたという。中国船による同様の妨害行為は今年5月にも起きていた。

 南シナ海は豊富な資源が埋蔵すると見られており、領海をめぐって、中国と他国の間で論争が絶えない海域だ。中国が関わる領土問題は、カンボジアで開かれたASEAN 首脳会議の大きな議題にもなっていた。中国の膨張政策の背後にある意図を読み解く。

 フィナンシャル・タイムズ紙は中国のエネルギー計画を取り上げている。中国は南シナ海を、天然ガス確保の観点から「最重要な」地域と見なしている、と国家エネルギー局(NEA)が発表した計画に明記されているという。また、すでにベトナムが他国にライセンスしている探査ブロックを、中国が競売にかけている点にも同紙は注目している。さらに、国営エネルギーグループの Cnooc が、中国領海外で使用する深海掘削装置を開発したことにも同紙は言及している。

 これらの事実から、領土拡張政策を取る中国の本気度が垣間見える。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、中国海南省が先週発布した法律(実施は来年 1月)について大きくスペースを割いている。この法律は、中国領海内で違法行為を行う外国船に対して、中国船が捜査および撃退を認めるものであり、海南省によると、「9 ドットライン」(中国主張の領域)内にある島々すべてに適用されるという。問題は、(1)「違法行為」が抽象的であり、(2) ベトナムやフィリピンなどが当該の島々の領有を主張していることにあるとニューヨーク・タイムズ紙は指摘する。同紙は、この法律が 12 海里ゾーンに適用されると、諸国の航行の自由が危機にさらされると懸念している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国外務省のスポークスマンが同法律について詳細を説明することを拒否したと報じている。

 さらに、同法律についてニューヨーク・タイムズ紙は、「米国やアジア諸国が過剰に反応している」とするマサチューセッツ工科大学政治学教授の見解を紹介している。その一方で、同紙は、オバマ政権の「静かな」対中国外交を批判し、これまで中国が同時に複数の領海で紛争(対日本、対東南アジア諸国)を起こすことを避けてきたと見られてきたが、今回の法律によってその認識が誤りであったとする戦略・国際問題研究所研究員の見解も紹介している。

Text by NewSphere 編集部