32 歳トレーダー、歴史に刻んだ詐欺事件

Kweku-Adoboli

Kweku-Adoboli 英裁判所は20日、スイスの大手銀行UBSの巨額損失に関し、同行元トレーダー、クウェク・アドボリ(32)被告に、詐欺罪で禁固7年の有罪陪審評決を言い渡した。未承認の取引を行い、23億ドル(約1840億円)の損害を与えたとされる。
 各紙は、英国銀行史上最大のトレード損失事件の裁判の模様を報じた。

 アドボリ被告は自身の活動を銀行のためと弁明し、会社も自身の活動を認識し、利益を出している間は黙認していたと主張したことを、フィナンシャル・タイムズ紙とニューヨーク・タイムズ紙は報じた。またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、被告が行内規則に従わなかったことは認めながらも、行内ではよくあることと抗弁したことを報じた。実際裁判において弁護士が、「被告はUBSの何十億ドルにも上る損失のスケープゴートである」との意見を述べているという。フィナンシャル・タイムズ紙は、アドボリ被告が、誰も銀行業界には抗えないし公判中自身のために証言してくれるわけがないと法廷で述べUBSに否定されたことを報じた。

 フィナンシャル・タイムズ紙とニューヨーク・タイムズ紙は、判事がアドボリ被告に対し、自身の過ちに全く気付いておらず、トレーダーに対する行内規則が自身には適用されないと考えており傲慢であると述べたことを報じた。またニューヨーク・タイムズ紙は、被告が故意に限度を超えたリスクを冒し銀行の金を思うままにしており、UBSが被告の活動を認識していたというのは全くおかしな考えであると検察官が述べたことを報じた。UBSは2件の電子メールで、行員に不法な活動について警告しているという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、判事が被告に向かい、「英国銀行の歴史に残る最大のトレード損失を負わせた人間としてあなたは永遠に知られることとなるだろう。同時に陪審の評決はあなたのしたことが犯罪であることを意味している」と述べたことを報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は、UBSが今回被告ではないため英国法によりコメントを許可されておらず、20日刑事訴訟の手続きが完了したことを受け喜ばしいとの短い声明を出したと報じた。

Text by NewSphere 編集部