ギリシャ救済計画の合意ならず―危ない融資はできない、またも救済金支給延期―

ギリシャ 21日朝、ギリシャへの救済金の支払いについて12時間近くに及んだユーロ圏財務相および国際通貨基金(IMF)の非公開会談は、合意を見ず閉会。22日からのサミットで扱われる可能性もあるものの、続きは来週月曜日に持ち越されることとなった。

 各国とIMFは、ギリシャがGDPの120%以下という基準値まで債務を減らす期限を2020年とするか2022年とするかで、見解が相違していた。その点を解決してギリシャへの実際の救済金支給を承認するための会談であったが、その相違が埋まることはなかった。ニューヨーク・タイムズ紙はIMFラガルド専務理事の、“IMFとしてはギリシャの債務が持続可能なものとみなせないと融資を継続できない”との主張を伝えた。

 予想以上の景気後退に見舞われているギリシャ経済の負担を軽減し、ギリシャの債務を“持続可能なもの”とするために、会談では、負債の金利を下げる・返済期限を延長する・大幅割引価格で個人投資家の債券を買い戻させる・欧州中央銀行(ECB)にギリシャ債から得た利益を還元させる、といった策が協議されていた。これに対しドイツは、利下げ案もやぶさかではないが、(ギリシャへの最初の救済金を負担した)KfW銀行の借入コスト以下にまで金利を落とすことはドイツ納税者の損失につながるから受け入れられないとし、欧州金融安定基金(EFSF) から100億ユーロ(約1兆円)の追加融資を行って、その資金で債券買い戻し案を実行することを推奨した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、総選挙を来年に控えたドイツでは、さらに大量の資金を必要としたり、すでに投じた1730億ユーロ(約17.3兆円)の税金に損失が出るような合意は、議会や有権者には釈明できないだろうと解説している。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、元々延期が続いていた救済金支給がまたも延期されたことについて、ギリシャのサマラス首相が「ギリシャはやると決めたことをやりました。我がパートナーたちと、それにIMFもですが、引き受けたことをやるべきです。解決策を見つけるための技術的な問題は、過失や遅延を正当化しません」と、ユーロ圏の不手際を非難したと伝えている。サマラス首相には国内の左右両派から、「我が国は債権者たちに騙されたのだ」との突き上げが来ているという。

Text by NewSphere 編集部