ガザ停戦合意-8日間の激しい爆撃の果てに、誰が何を得、何を失ったのか-

 21日、8日間続いた爆撃の応酬に歯止めをかける停戦が合意された。合意書によれば、ハマスとイスラエルは、ともにすべての戦闘行為を停止する。具体的には、イスラエル側には個人に対する攻撃、ハマス側にはロケット弾を含む国境を越えた攻撃の停止が求められる。また、イスラエルがガザ封鎖を緩和することも盛り込まれた。停戦発効24時間後に、今後の具体的な措置が話し合われるとされる。
 海外各紙の論調はほぼ足並みをそろえ、8日間の紛争を経て、各国の得たもの、失ったものを探り、今後を見通した。
 
 ニューヨーク・タイムズ紙は、ハマスとパレスチナ市民の現状に紙幅を割いた。今回の紛争による死亡者数は、パレスチナ人が170名ともいわれるのに対し、イスラエル人は5人。圧倒的な被害の差にもかかわらず、ガザ地区は「歴史的な勝利」とハマスへの賛美に沸いたという。ハマスは、イスラエルやアメリカがエジプトに赴いたことを「停戦を求めて(ハマスとパイプのある)エジプトに泣きついた」とまで語り、意気軒昂に「武装を続ける」と断言。停戦後に、テル・アビブでバス爆破のテロが発生したことに対しても、首謀説は否定しながらも、昂然と賛辞を送ったと報じられた。
 一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、イスラエルは一定の戦果を獲得したという自負を表明。アイアン・ドーム(迎撃ミサイルシステム)の期待以上の性能を確認し、ハマスの重要メンバー幾人かを殺害し、ガザ地区の多くのロケット発射台を破壊したためだとされる。クリントン国務長官の派遣で停戦への強い意志を見せたアメリカをたてて、封鎖の一定の解除に応じた一方、武器の流入とガザの攻撃阻止に対する、アメリカの段階的な援助の確約も取り付けたとも報じられる。しかし、停戦合意後になおロケット弾が発射されたこともあり、イスラエル市民には根強い懐疑と疲弊のムードが漂っているという。市民の内には「負けも同然」という声もある模様。これに対し、ネタニヤフ大統領は「停戦には価値がある。ただし、今後の成り行き次第では、より強硬な手段に打って出る」と述べることで、市民感情に配慮しているとも報じられた。

 各紙ともに、今回、最も大きな成果を得たと評価したのは停戦調停の立役者となったエジプトだ。欧米におもねることなくイスラムの誇りを守りながら、国際協調が果たせることを示したことで、当局者からの謝意のみならず、国際的な評価を得たとされた。
アメリカも、イスラエルの姿勢を軟化させ、膠着した停戦協議を打開したことで、一定の存在感を示したとも評価される。

 とはいえ、今回の停戦は決して「決着」ではないと、各紙は声をそろえた。ハマスにとって、市民の支持は「封鎖解除」という成果あってこそだ。パレスチナの外交役の座も、停戦合意を守って国際的信用を得ないかぎり、長年のライバルであるパレスチナ解放機構に奪還されかねないとも指摘される。
 また、高い戦果を上げたにも関わらず市民の評価を得そこなった格好のイスラエルは、再び態度を硬化させざるを得ない火種を抱えたともいえる。
 エジプトは今回の評価を確かなものにするために、ガザの治安への責任を果たすというイスラエルからの要望と、国境の封鎖解除というハマスの要求をいかに果たしていくかが問われる。
 アメリカには、イスラエルとの約束を果たし、停戦を持続させていくことが求められる。

 停戦はした。しかし、懸案事項はあまりにも多い。各国、各勢力ともに、真の評価は「これから」にかかっていることを、各紙は改めて浮き彫りにした。

Text by NewSphere 編集部