イスラエル、ガザ地区空爆―戦争の始まりか―

 イスラエル軍は14日、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区のガザに空爆を仕掛けた。その結果、ハマス軍事部門のリーダーであるジャバリ氏を始め少なくとも7人が死亡、50人以上が負傷した。イスラエルは、空爆はジャバリ氏の殺害などにより、ガザでのテロを根本的に断ち切り、勢いを弱めることを目的としていたと述べた。実際、ハマスが長距離ミサイルを保管している恐れのある場所を20か所ほど爆撃したことも明らかにしている。
 ガザ爆撃後、ハマスもイスラエルの中心都市に報復攻撃をした。イスラエル警察によると、3人が死亡、4人が負傷した。
 各紙はイスラエル軍やハマスの動向、関係諸国への影響に注目した。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、イスラエル政府が、ガザより半径25マイル内の住民に対して、学校や仕事へ行くのをやめるように命令したことを報じた。イスラエル軍は、今後も反政府勢力のリーダーやミサイルの保管庫などへの攻撃を続ける方針を述べている。一方、ハマスも強固な態度で臨む姿勢を表明。ハマスの代表者は攻撃を戦争行為とみなし、「地獄への門を開いてしまった」と述べた。

 この攻撃は関係各国にも影響を与えた。
 フィナンシャル・タイムズ紙は、エジプトが駐イスラエル大使を召還し、抗議の姿勢を示したことを報じた。国連安保理に迅速な会議の開催を要求し、アラブ諸国でも緊急事態会議を招集するなどの動きがあることを報じた。
 オバマ大統領はイスラエル・エジプト両国の首脳と会談した。ニューヨーク・タイムズ紙は、大統領がイスラエルの自衛権への支持を表明したことを取り上げた。同時に、イスラエルには国民への被害を最小限に抑える努力をするよう要求したことにもふれている。エジプトに対しては、地域安全保障に重要な役割を果たしていることを強調し、事態の終息のために協力することを再確認したと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
 
 またニューヨーク・タイムズ紙は、今回の攻撃がイスラエルの9か月後の選挙にも影響を与えたと報じた。イスラエルは今回の攻撃で軍事力を強調する意図もあったとみられるが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、イスラエルの軍事力はもはやガザを抑止できないともみている。

Text by NewSphere 編集部