EU、CO2対策どころではない?

EU 欧州委員会は12日、国際線の航空機に対する二酸化炭素(CO2)の排出規制について、国際的なルールが決まるまで実施を凍結すると発表した。EUは、2012年1月から、国際線を運行する、海外企業を含めた航空会社に対し、CO2排出超過分の購入を義務付けていた。しかしEUの措置には、中国やアメリカ、ロシア、インドなど各国が強い反対を示し、対抗措置の検討も行っていた。国際的反発の高まりを受け、欧州委員会は措置を停止し、国際的な議論を進めていく方針を示した。ただ、来年秋までに動きがなければ規制を再開することも同時に明らかにした。

 排出規制の背景には、環境汚染への危機感があるという。規制実施の凍結は国際線に限られること、国際的議論が進まない場合、1年後に規制を再開するとしたのもそのためのようだ。規制凍結が適用された会社にとっては救いとなったが、適用されない地域の航空会社とその関係企業は、統治権違反、不公平という反対意見が根強いとニューヨーク・タイムズ紙が報じた。一方で、環境保護団体は、予定通り執行するべきと意見をしているとフィナンシャル・タイムズ紙が報じた。 
 ちなみにこの規制では、排出量を超えていた場合、1トンのCO2 排出に対し100ユーロ(約1万円)の罰金が課されるという。罰則適用が続けば、ヨーロッパ圏内に着陸も許されないという厳しいものだ。そのため航空会社は支払額の膨張を不安視している、とニューヨーク・タイムズ紙は報じた。

Text by NewSphere 編集部