スペイン、住居立ち退きの猶予措置を発表―相次ぐ自殺やホームレス化を受けて―

spain_160_w スペイン銀行協会は12日、住宅ローン返済に行き詰まり立ち退きを命じられるケースについて、「極端な資金繰りを必要とする場合」「人道上の理由から」、2年間の退去猶予に合意したと発表した。また、与党・国民党および野党・社会党首脳に向けて、抵当法の改正に超党派で取り組むべきだと呼びかけた。

 スペインの抵当法は103年前に遡るものであり、住宅が差し押さえられ破産しても、住宅ローンの減免を認めていない。厳しい経済情勢が続くうえ、その不況がもともと住宅バブルの崩壊に端を発するスペインでは、立ち退きを迫られた住人の自殺やホームレス化が問題になっていたとフィナンシャル・タイムズ紙は指摘した。さらに、ラホイ首相が就任後1年で2度目の抗議ゼネストに直面している事も報じている。

 ニューヨーク・タイムズ紙では、立ち退かされた住人の親戚一同の苦しい生活をレポートした。彼らが売れ残りのマンション(皮肉にも豪華な高額物件や、差し押さえられた自宅)などを占拠する現状、差し押さえられた住宅の購入価格より高い債務残高を抱え続けさせられる事態、さらには好況時代に政府が低所得者向け住宅や賃貸住宅を整備してこなかった事実などを報じている。また同紙は、銀行の発表した自己規制は対象者の条件が厳しいため、実効性は乏しいと指摘した。

 元々立ち退き圧力の緩和を主張してきた社会党はじめ、各政党も事態を問題視しているという。ただし、債務の減免措置を認めれば、銀行の住宅資産に対するリスク評価を完全に見直さなければならなくなり、ただでさえ不良債権処理に苦しんでいる銀行のバランスシートがさらに悪化する、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は警告している。実際過去には、貸出コストとデフォルトの増加を理由に、銀行界が抵当法の改正に抵抗した事も指摘している。

 なお、スペイン銀行のデータによると、6月現在発行済の6037.4億ユーロ(約60.4兆円)の住宅ローン抵当のうち3.2%にあたる、191.2億ユーロ(約1.9兆円)は不渡りとなっているという。

Text by NewSphere 編集部