シリア内戦の動向―イスラエル軍の攻撃と反体制派の結集―

 11日、内戦が続くシリアに対し、イスラエルから「警告」のミサイル砲撃が加えられた。イスラエルは、占領するゴラン高原に同日、シリアから迫撃砲弾1発が着弾したことへの報復措置としている。ゴラン高原はイスラエルが占領しているシリア領で、1974年の停戦後は、国連の監視団が派遣されている。イスラエル軍がシリアを砲撃するのはそれ以来とみられる。ゴラン高原ではシリア政権側と反体制派の戦闘が激化しており、シリア側は、着弾は意図的ではないと釈明している。
 こうした情勢下、シリアの反体制派勢力は、アサド政権打倒に向けた統一組織「シリア国民連合」を樹立することで合意し、イスラム教の聖職者モアズ・ハティブ師を代表に選出した。

【イスラエル軍砲撃の背景】
 まず、イスラエル側も今回の着弾が意図的なものではないと考えていることを表明した。ただ同時に「砲撃を受ければ反撃をする」とも述べており、警戒の姿勢を示していることをインタナショナル・ヘラルド・トリビューンは報じた。実際、シリアはイスラエルの軍事力に及ばない。ただ、これまではアサド親子政権下で決定的な対立は避けられてきたものの、昨今の内戦激化により、ヒズボラなどの組織が台頭する可能性が否定できない状況だと指摘。シリアは否定しているが、化学兵器が存在する可能性もあり、イスラエルはこの攻撃を危険視していると報じられた。

【シリア反体制派の結集】
 フィナンシャル・タイムズは、反体制派各勢力による「シリア国民連合」設立は、内戦終結に向け重要な決断だと評した。ドーハで協議を続けてきた反体制勢力各派は、新団体が、少数宗派・部族のほか、反体制派に不満を抱える海外に逃れた戦闘部隊の声も反映させるとしている。
 メンバーは60人ほどで海外の支援国から集結した形だ。そのため、内戦終結にどれほど寄与できるかは未知数だともみられている。

Text by NewSphere 編集部