バークレイズに4億7千万ドルのペナルティ請求―夏のスキャンダルに続き打撃―

20121101_Barclays 31日、米国連邦エネルギー規制委員会は、2006年後半から2008年にかけて米電力市場を操作したとして、英国バークレイズ銀行に4億3500万ドルという記録的な罰金と、3490万ドルの利得返還を求めた。また当時の同行のトレーダー4人にも罰金1800万ドルを求めているという。同行は嫌疑を否定し、米司法省および米証券取引委員会による捜査に協力していると語った。
 さらに同行は2008年7月と10月に行った増資に関し、カタールなどから出資者を斡旋した紹介者に報酬および手数料3億ポンドを“契約通り”支払ったとしているが、英国の金融サービス機構や重大不正監視局はその透明性を疑い、捜査中である。
 同行は今年すでに支払保障保険の誤販売や、ロンドン銀行間取引レートLIBORの操作を試みて4億5000万ドルを課されるなど不祥事続きであり、7月にCEOが交替し刷新を誓っていた。
 なお同行の第3四半期の収益は、それら罰金などが響いて赤字に転落している。

Financial Timesの報道姿勢―出鼻くじかれる新CEO―
 「一新された“価値観と行動のセット”を植え付ける」ことで銀行の文化を変えると約束し、打ちのめされたグループの信頼を回復しようとする新CEOの野望が、早くも打撃を受けたと報じた。
なおFTは今年4月、電力市場操作疑惑についてすでに報じている。

International Herald Tribuneの報道姿勢―巻き返す潜在力はある―
 比較的、事件自体よりも同行の今後の経営見通しに焦点を当てている。全体として損失は出したものの業務については好調な部門もあり、他の銀行が不振に苦しみリストラを強いられる中、シェアを奪い取る潜在力があるという。同行がスペインやギリシャなどの重債務国から重心を外しつつあることも伝えている。

The Wall Street Journalの報道姿勢―銀行は知っていたのか?―
 IHTとは反対に事件捜査を重視している。増資斡旋事件について同行が自ら内部調査を始めたことを報じており、関係者によると法律違反の証拠は見つかっていないという。また電力市場操作に関しては、トレーダーたちが役員の警告を無視して「たぶん違法」と知りつつ作戦会議を行っていた証拠の内部メッセージを、捜査当局が掴んでいると伝えた。

Text by NewSphere 編集部