胡錦濤vs習近平 中国権力闘争の内情は?

中国 近づく中国共産党第18回全国代表大会(第18大)。今大会は、綱紀にのっとって、10年間続いた胡錦濤体制からの政権交代が決定している。次期主席には、着実に地歩を固めてきた習近平氏の就任が確実視されている。
 鄧小平氏以降、その指名を受けていない初の国家主席、しかも「太子党」と呼ばれる中国共産党の高級幹部の子弟である同氏が次代の中国をどう導いていくのか。権力を維持したい江沢民、胡錦濤、両派閥はどう動くのか。
 政権交代をめぐる政変が相次ぎ、広がる貧富の差への一般国民の怒りがたぎる中国に、世界の注目が集まっている。

The New York Timesの報道姿勢―次期国家主席、習近平氏、改革なるか―
 第18大を前にして、習近平氏の政治姿勢と中国の行方を分析。習氏が基本的にはリベラル路線を目指し、改革への意欲があると報じた。ただし、その前途は多難で、改革を進めれば、現在の一党支配そのものが揺るがせになりかねない。その矛盾を解決する策として、習氏はシンガポールを手本にしようとしているともされ、接近が伝えられる。さらに、改革には、現体制から大きな利を得ている共産党幹部との折衝も避けられない。しかも、太子党である習氏自らが、その多大な恩恵にあずかり、海外在住の親族は巨万の蓄財を報じられてもいる。自己矛盾を抱えつつ進められる改革開放路線が注目されると報道した。

The Wall Street Journalの報道姿勢―激化する権力闘争―
 最近中国で世間を騒がせた2つのスキャンダル、薄熙来氏の失脚と、令古氏の自動車事故を採りあげ、背後の権力闘争を浮き彫りにした。薄熙来氏は江沢民氏との密接な関係で知られ、行く末は国家主席ともされる有力政治家だったが、最近、側近の暴露によって、収賄、不適切な性関係、妻の殺人容疑に絡む汚名にまみれ、失脚した。これにより、江沢民氏は、ライバル胡錦濤氏のリードを許した形だったが、ここにきて、胡氏の側近の息子が、超高級車で、しかも二人の女性と半裸でのドライブ中に事故死するという椿事が発生。共産党に対する民衆の激しい反発を招く点において共通しつつ、対立する両派が起こしたスキャンダルに、水面下での隠蔽と取引が激化している、と報じた。

Text by NewSphere 編集部