スペイン救済の行方―「ユーロ終わり」の声も―

ラホイ スペイン当局筋によると、財政再建を目指すスペインは現在、政策介入を伴う本格的なベイルアウト救済ではなく、新たな予防的クレジットライン(貸付限度枠)の申請のみで済ませる方向で検討中だという。結論は数週間以内に出るとの見方がある。当局筋は、クレジットライン申請が行われればそれだけでも信用は増し、実際に支援を受ける必要はなくなると説明した。
 スペインは救済申請の是非について数ヶ月間葛藤しており、投資家からも注視されている。今回の方針は、スペイン以上の重債務国であるイタリアへの信用不安波及を懸念してのものという見方もあるが、すでに過酷な緊縮策で国内不安の高まっているスペインがこれ以上の制約を嫌ったのが本音、との観測もある。

Financial Timesの報道姿勢―スペイン支援への反対薄れる―
 実際の借款申請ではなく信用枠の拡大にとどまることで諸外国からの支持が得られ易くなったとし、欧州中央銀行(ECB)による新しい債権購入プログラム(OMT)の最初の適用に道が開けたと分析している。
 イタリアへの影響も懸念されているが、同国閣僚は自国の財政が健全だと主張している。なお、ドイツなどで取り沙汰されている、「スペイン+イタリア」など複数国の救済案を一本化して各国議会の承認を得やすくしようとの考えについては、ドイツ当局は否定的だと伝えている。

The New York Timesの報道姿勢―スペインの“やせがまん”だと警告―
 スペインのラホイ首相が国内の景気後退と政治支持減衰を背景に、スペインはまだ絶望的状態には至っておらず、支援を受けるかどうか選択の余地が残っていることをアピールしたがっている、と分析した。
 先週スペイン国債の格付けがジャンク級付近まで降格された点を指摘し、またスペインがいつまでも救済要請に迷い過ぎたり、救済が実現しない事になれば、いよいよ投資家から見放されるとして、スペイン政府の対応はリスキーであると警告した。

The Wall Street Journalの報道姿勢―「ユーロは終わりです」―
 スペイン当局者とのインタビューから、スペイン政府は最終的に救済申請を出さないものと推測している。その場合「ユーロは終わりです」「(世界の金融市場に)翌日、災厄が降りかかると思います」という、当局者の衝撃的な言葉を伝えている。

Text by NewSphere 編集部