クリントン国務長官、駐リビア大使殺害事件は「私の責任」

Hillary Clinton クリントン米国務長官は、9月にリビアで起きた駐米大使殺害事件に対し、自分に責任があると発言した。この事件については、事前に領事館職員から警備増強要請があったにもかかわらず、討論会でバイデン副大統領が「知らなかった」と述べて非難されていた。
 各紙は、クリントン長官の発言が大統領討論会前日に行われたことなどから、オバマ大統領を守るねらいが伺えると報じた。

The Wall Street Journal の報道姿勢―クリントン長官のしたたかさ―
 外交官が安全かつ適切に職務を行えるようにすることは、国務長官である自分の責任だと述べた。そのためリビアの領事館の防衛については、大統領と副大統領の責任ではないとも発言している。外交官の安全と円滑な職務のバランスが難しいことを示唆し、彼らの働きを讃えた。また、遺族がこの問題を政治的対立に利用しないでほしいと願っていることを明らかにした。
 共和党は、ホワイトハウスを非難しながらも、事件の原因を明らかにし、再発を防ごうというクリントン長官の姿勢は評価している。
 このようにクリントン長官の発言を詳しく報道し、オバマ大統領を守る意図を明らかにしている。今期の引退を明らかにしているクリントン長官が、この件で被るダメージが少ないとも分析している。

International Herald Tribune の報道姿勢
 クリントン長官の発言を紹介し、注意深く事件に対する直接的な責任への言及は避けたと指摘した。また反イスラム映画に対する抗議行動がなかったことを認め、その混乱についても調査を進めると発言したことを報じた。
 また、共和党のグラハム上院議員の、政権に対する2つの質問を取り上げた。
1.大統領の国防担当チームに、ベンガジで4月・6月に起きた攻撃を大統領に報告したのか、どんな対応を勧めたのか
2.オバマ大統領に、国防担当チームから攻撃のことを聞いていたのか、どんな対応を指示したのか
グラハム議員は、大統領がこの件を知っていたなら、適切な指示をしなかった責任があると批判している。
 クリントン長官の発言をそのまま報じるのではなく、この問題をめぐる対立は長引き、真相解明にも時間がかかることを示している。

Text by NewSphere 編集部