ギリシャ連立与党、緊縮策に合意―海外各紙は効果を慎重に分析―

 ギリシャの連立与党指導者は135億ユーロ(約1.3兆円)の緊縮策に、おおむね合意した。今後詳細を詰めるとともに、その実施期限を2年間から4年間に延長するよう、債権者に交渉する予定だ。合意の結果、歳出を105億ユーロ削減し、弁護士など一部専門職への所得増税により30億ユーロの財源確保を見込んでいる。今回の緊縮策は、今後ギリシャ議会の審議にかけられ、正式に実行されるかが決まる。また、10月2日には、EU・IMF・欧州中央銀行(ECB)が派遣するトロイカ調査団が再度ギリシャに入り、債務状況を調査する。その評価を踏まえ、10月初旬の欧州圏財務相会合で、ギリシャに約350億ユーロ(約3.5兆円)の財政支援を行うかが話し合われる。 

Financial Timesの報道姿勢―緊縮策に対する賛否に焦点―
 サマラス首相と対立するギリシャ急進左派連合のツィプロス氏のインタビューから、緊縮策や財政支援プログラムを実行しても経済環境は良くならず、抜本的な改革が必要という主張を取り上げた。
 一方、サマラス氏率いる現連立与党幹部の発言からは、より歳出が増えればさらなる緊縮案が必要になるが、実施期限を延長できればギリシャの経済状況はよくなるという主張を取り上げた。さらに、その前に予想を上回る結果が出せれば緊縮策が緩和される、といった前向きな見方も報じた。

International Herald Tribuneの報道姿勢―政治的な交渉の継続とユーロ圏への反発を報道―
 緊縮策が最低限の同意には達しつつも、細かな課税を割り振る等問題が残っている事と、今後もトロイカ調査団との政治的な交渉は続く事を指摘した。
 同時に、ギリシャ社会党党首がヨーロッパの首脳達に向けて、確かに援助はしてくれているが、さらなる支援をするべきだといった趣旨の発言をした事も取り上げ、債権者側に対するギリシャの反発も伺わせた。

The Wall Street Journalの報道姿勢―緊縮策は議会を通るとみるが、問題は解決されないと指摘―
 緊縮策が議会で審議にかけられた際に、国民や野党の反発等を受けつつも、連立政権が過半数を占めるため、議会を通過するだろうと報じた。しかし、野党の反発が政府の力を弱める事や、緊縮策がギリシャ経済へのさらなる重荷になる事に加え、経済が改善されない事が問題の本質であると示唆する発言を取り上げた。

Text by NewSphere 編集部