イラン、イスラエルに挑発的発言-海外紙は米国への影響に注目-

 イランのアフマディネジャド大統領は24日、ニューヨークでの記者会見で、イスラエルに対し挑発的な発言を行った。1万年前から存在し続けているイランに対し、イスラエルは西側諸国の助けを借りて領土を侵略した「ルーツを持たない」国であり、いずれ排除されるだろうと述べた。さらに、イスラエルのイランへの攻撃可能性について、脅威とは考えていないとコメントした。
 アフマディネジャド大統領は、対米・イスラエル強硬姿勢で知られる。今回の発言にもそれが現れている。では、この発言はアメリカ外交にどんな影響があるだろうか?海外各紙の報道を分析する。

Financial Timesの報道姿勢―米国大統領選への影響―
 FTは、大統領選において外交問題が争点の1つになっていることに着目した。アラブ圏の民主化運動を支援しながら反米デモが頻発している現状を、オバマ大統領の対アラブ外交の失敗として、共和党・ロムニー氏は攻撃している。今回の発言などイラン・イスラエル間の緊張が高まる中、訪米中のネタニヤフ・イスラエル首相と会談しなかったことで、オバマ大統領はさらに批判を受けている。対してオバマ大統領は、内戦の続くシリアや核開発疑惑のあるイランは弱まっていると反論し、自身の外交の成果を強調した。

International Herald Tribuneの報道姿勢―イランの対米批判にも着目―
 対イスラエル挑発に加え、アフマディネジャド大統領の対米批判を取り上げた。具体的には、イランの原子力開発を妨害する一方、イスラエルの核兵器については黙認している点などだ(イランは原子力の軍事利用を否定している)。さらに、イスラム教を侮辱した映像が公開された時、表現の自由を主張し擁護したとして、間接的に米国を非難した。残り9ヶ月の任期となったアフマディネジャド大統領は、イスラエルなど「イランの敵」を挑発・刺激するアピールを期待されていることが背景にあると分析した。

Text by NewSphere 編集部