中国、尖閣諸島周辺に監視船2隻を派遣

中国が海洋監視船2隻を尖閣諸島周辺海域に派遣した、と新華社が報じた。日本政府が尖閣諸島の国有化を決定した翌日のことだ。日本政府は、尖閣諸島主要3島を20.5億円で購入しており、島の管理は海上保安庁が担当することになる。

<各紙の報道>

IHTは、中国政府が国内から目をそらさせるために今回の事態を利用していると報じた。現在中国は10年に一度の指導部交代期だが、国営メディアはここ数週間、釣魚島(編注:尖閣諸島の中国名)と日本の犯罪行為について詳しく報じていると指摘した。例えば、胡錦濤国家主席が、尖閣諸島購入は違法行為だとAPEC首脳会議で野田首相に警告したことなどだ。一方で国営メディアは、次期国家主席と目される習近平氏が姿を見せないことを報じていない。インターネット上では、習氏の健康問題が噂されていることにもふれた。中国政府の領土問題に対する強硬な態度と主張は、国内の注意をそらす目的もあるとするアナリストの分析を紹介した。

WSJは、中国の対応の詳細とねらいについて報じた。まず、尖閣諸島問題に関して、中国政府はこれまで国内のプレッシャーにも関わらず刺激的な行動を避けてきたと指摘した。中国は経済成長が鈍化しつつあり、今回の反応も日本との貿易に悪影響を与えないよう、反日感情を制御する努力が伺える、というアナリストの分析を紹介している。監視船の派遣は過去にも例があり、セレモニー的なものだとする日本人専門家の分析も紹介している。ただ、尖閣諸島周辺の領海法を制定したことについては、日本は外交チャネルを通じ抗議していると報じた。なお、中国では小規模な抗議行動が起きている。日本の購入を許してからの抗議は遅すぎ、もっと早く強い行動を起こすべきだったという若者のコメントを最後に紹介した。

Text by NewSphere 編集部