中国の成長鈍化 今後の懸念は?

 中国国家統計局は15日、第2四半期のGDP成長率を前年比7.5%と発表した。第1四半期の7.7%から下落している。
 中国は今年7.5%の成長目標を掲げており、公式発表では達成に自信を見せているが、各紙は刺激策を取らないと7%を割り込む恐れもあるなどと懐疑的だ。むしろ、中国政府が「どこまでの低成長に耐えられるか」に関心の焦点がある論調といえる。

【下方修正される予測】
 ブルームバーグは、予想以上に鈍化する各種指標を報じた。
 6月の工業生産は前年比8.9%増であるが、5月は9.2%増、予想中央値は9.1%増であった。小売売上高は同じく6月12.9%増、5月13.3%増、予想中央値12.9%増であった。農村世帯を除く固定資産投資は1月~6月期20.1%増、1月~5月期では20.4%増、予想中央値は20.2%増であった。政府の財政支出は5月には前年同期比12%増のペースであったものが、6月は3%増に留まった。

 また、野村ホールディングスは来年の経済成長予測を7.5%から6.9%に、JPモルガンも今年の予測を7.6%から7.4%に、来年の予測を7.2%に引き下げた。スタンダード&プアーズも、中国の非金融企業による設備投資が今年4%、2014年に6%落ちるかもしれないと予測しているという。

 さらに中国の最高経済計画機関である国家発展改革委員会は、6月には2つの新しいプロジェクトしか承認せず、それも地下鉄の路線敷設にあたり自治体が資金調達に困難をきたしているなど、トラブルを抱えての発進であるという。

【仕事は今は多いが・・・】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、第2四半期には求職者570万に対し610万の求人の雇用があり、雇われた労働者は次々と仕事に追われているが、今年の雇用はほとんどが工場であり、来年700万人も発生する大卒者を受け容れられるのか、疑問を呈している。
 都市従業員の所得の伸びは昨年の9.6%から今年上半期6.5%に鈍化、ホワイトカラー労働者の需要は弱まっている。
 また、労働者の権利意識の高まりにより、雇用や賃金の問題が社会不安につながる危険が増えているという。

【住宅需要を増やしながら抑える政策】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今年上半期の総不動産投資が3.68兆元(約60兆円)で前年比20.3%増、住宅および商業用不動産の売上高が1〜6月期合計3.34兆元(約54兆円)で43.2%増など、住宅市場の堅調を報じている。
 これは政府の都市化政策により都市に人口が流入しているためだが、それにもかかわらず政府は、不動産バブルと住宅高騰による社会不安を恐れて、住宅購入制限、開発業者への信用圧迫、頭金要件の引き締めなど、需要抑制策を進めている。
 市場の大勢意見としては、特に成長減速下においては経済浮揚のため、政府はある程度住宅価格上昇を受け入れざるを得なくなるのではないか、とのことである。

Text by NewSphere 編集部