「禁止規定はなかったのに…」 侍ジャパン活躍の裏で起きていた応援席での制止に「不快」

@0meme0xzzさん提供(以下同)

2023年11月16日から東京ドームで開催されているアジアプロ野球チャンピオンシップ(以下:APBC)。アジアプロ野球の24歳以下の選手による国対抗戦です。今回が2回目の開催であり、前回は2017年に行われました。以前は日本や韓国、台湾の3チームの参加でしたが、今年から新たにオーストラリアが加わりました。

【画像】警備員に立たないよう止められる様子

比較的新しい今大会。実は以前にアジアシリーズという似た国際大会が存在していました。

2005年から計7回にわたり行われ、開催年の各国プロリーグで優勝したチームが代表として出場。

このアジアシリーズはいわばクラブ選手権であり、APBCは国代表同士の試合なのです。

各国が素晴らしい試合を繰り広げる中、応援席では国の文化の違いによる思わぬ騒動が起きていました。

多くの魅力がある、野球国際大会

近年、日本代表はWBCやワールドカップ、壮行試合などを通じて海外チームと対戦する機会が増えています。

特にWBCではイスラエルやチェコなど、普段はなかなか聞き慣れないチームと対戦できることも魅力です。

その魅力は、試合や対戦相手だけではありません。

私たち、選手を応援するファンにとっても楽しみなところがあります。例えば応援です。

日本の応援スタイルといえば、その中心地は外野席。

楽器の演奏や応援団のチャントに合わせながら、時には立って声を枯らしながらも一所懸命な声援が魅力的です。

国際大会となれば、試合相手は海外チームとなるので、ファンの応援も日本とは異なる点が見えてきます。

現在開催中のAPBCでは、特に韓国と台湾の応援スタイルが話題です。

両チームでは応援の中心地が内野席にあり、応援ステージで応援団長のリードとチアリーダーのダンスに合わせながら多くのファンが席を立って応援します。

いわば、日本とは別世界の光景が広がっているのです。

アジアプロ野球チャンピオンシップで問題視された「韓国式応援」

同月17日に行われた日本対韓国戦。

今試合では日本が2-1と韓国に勝ったものの、試合中に韓国側の応援席である問題が起こっていました。それは、警備員によって韓国式の立ちながらの応援が禁止されてしまったのです。

試合当時、韓国側の応援席でその様子を目撃していた「X」(旧:Twitter)ユーザーの「0meme0xzz」さんにNewSphereは取材しました。

投稿者さんは当時、いつものように内野席で韓国式の応援をしていたところ、応援ステージ付近に警備員が現れ、立ちながらの応援を静止されたといいます。

その様子を撮影した映像は「X」で拡散され、韓国人ユーザーはもちろん、日本人ファンからも運営側の対応が批判されています。

「チケットを購入する時、応援シートを選択しました。それは韓国プロ野球の応援団が派遣されると知っていたからです。購入した時、『内野席では立ちあがってはいけない』という規定はありませんでした。そうなると韓国では攻撃時、内野席で立ちあがって応援することが文化になっているので、いつものようにできると考えていました」

このように考えていた投稿者さん。

しかし、実際の現場ではその応援が止められてしまったのです。

注意された後は座っていましたが、その間も警備員の監視の目があり、不快だったと振り返りました。

一方、前日のオーストラリア戦では韓国式の応援を止められることがなかったといいます。

なぜ、日本戦になった時に急にルールが変更になったのか、投稿者さんは説明が必要だと困惑している様子でした。

もし、前日の時点で立ち上がり応援を禁止と周知していれば、問題にはならなかったのではないでしょうか。

国際大会は海外チームとの対戦だけではなく、ファン同士もお互いの応援文化を知り、交流する機会です。

このようなチャンスを運営の規定で潰してしまうのはもったいないはず。

投稿者さん自身も「国際大会では参加する各国の応援文化を理解、尊重する必要があります」と語りました。

また、試合会場の東京ドームでは今回の問題のほか、主催者運営のもとで日本以外の参加国のグッズが一切販売されていないことが確認されています。

今大会のために来日した海外のファンもいるため、彼ら、彼女らのことも考えるとたとえ少量でもグッズがあれば、海外野球への興味も高まるでしょう。

もし、次回の国際大会が日本で開催されることがあれば、対戦相手を身近に感じることができる配慮、運営を期待します。

国際大会は試合だけではない魅力がたくさん詰まっているのですから。

Text by 豊川遼