あなたの犬はいい子? デルタ航空が搭乗前に申告を求める その理由とは

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 デルタ航空は近々、サービスアニマルとサポートアニマルを客室に持ち込むにあたり、しかるべき訓練を受けた証明をはじめとする詳細な情報の提供を飼い主に義務付ける。

 同社によると、機内で動物に噛みつかれた、粗相されたという苦情が2016年から約2倍に増えたという。

 3月1日より、デルタ航空に搭乗する48時間前までに、飼い主は同乗させる動物の健康状態と予防接種の証明書を提示しなければならない。

                                                                                                                 

 精神医学的サービスアニマルおよび情緒的サポートアニマルの飼い主は、お供の動物が行儀よくできると保証する届出書への署名が必要となる。ただし、これは自己申告制で、飼い犬が訓練学校を卒業したことを証明する義務などはない。

 この新規定は、飼い主が追加料金を支払うペットには適用されない。デルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空の各社は、客室に持ち込む小型ペットに片道125米ドルの料金を課している。座席の下に収まらないペットは、有料で貨物室行きとなる。

 客室に持ち込まれる動物の増加を受け、デルタ航空は方針変更に踏み切った。

 訓練を受けたサービスアニマル(主に犬)が頼りの障がい者とサポートアニマルやコンフォートアニマルを連れた乗客との間の亀裂は深まっており、前者の多くは、後者が125米ドルの支払いから逃れようとしているだけだという疑念を抱いている。

 しかし、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)の退役軍人をはじめ、動物同伴でないと旅行ができないと主張するコンフォートアニマルの飼い主は少なくない。

 動物の健康やしつけの問題を審査する規定が不十分だと、デルタ航空安全保安部門のシニアバイスプレジデントを務めるジョン・ラフター氏は話す。

 昨年6月、アトランタで、デルタ航空機にサポートアニマルとして搭乗した体重70ポンド(約32キログラム)の犬が乗客のひとりの顔に複数回噛みつき、28針の大けがを負わせる事件が起きた。

 安全を維持しつつ、「このような動物を本当に必要とする乗客を支援するための」妥協点をデルタ航空は模索しているとラフター氏は話す。

 米国最大の客室乗務員組合の代表を務めるサラ・ネルソン氏は、デルタ航空の決定を称賛する。訓練されていない動物を同乗させるためにシステムを悪用する乗客を止めることができなければ、「旅行の際にこのような動物を本当に必要とする」退役軍人や障がい者にとって痛手となる取り締まりに発展しかねないと、同氏は主張する。

 アトランタの医療会社の営業職エリック・ゴールドマン氏は、「こんなサポートアニマルは家に置いてくるべきだ」と考える動物たちの写真をTwitterに投稿している。飼い主はシステムを悪用し、安全を脅かしていると同氏は考えている。

「そういう犬だらけですよ。通路に出ているんです。緊急時には90秒で避難しなければなりませんが、動物が通路にいたら乗客はパニックになりますよ」

 正確な数字は不明だが、航空会社職員によると、機内に持ち込まれる動物は犬と猫が最も多いが、ブタ、ヘビ、七面鳥が持ち込まれることもあるという。

 デルタ航空の新規定はふたつのカテゴリーを対象としている。目の不自由な人や障がい者を介助するための特殊訓練を受けたサービスアニマルと、訓練を受ける必要のない、いわゆる情緒的サポートアニマルだ。どちらも無料で搭乗でき、飛行中もケージに入れる必要はない。

 情緒的サポートアニマルは急増しており、デルタ航空の新しい手続きのほとんどはこれを対象としている。売上高米国第二位の航空会社であるデルタ航空には、毎日約700頭、年間25万頭に及ぶサービスアニマルとサポートアニマルが搭乗しているという。その三分の二以上が情緒的サポートアニマルだが、飼い主が料金を払ってキャリーに入れ、飛行中は座席の下にいる動物はこれに含まれない。

 動物連れ旅行のブームで、空港はペット用トイレの増設に追われている。

 飛行機の客室やペット禁止のアパートへのサポートアニマルの立ち入りは、1986年に施行された航空アクセス法で認められているというのが連邦監督機関の判断だ。結果、情緒的サポートアニマルの証明書を無許可で発行するオンライン企業が生まれることとなった。

 航空各社は客室へのサポートアニマルの持ち込みを認めなければならないが、その動物による介助が必要と認める医師または医療機関の証明書の提出を飼い主に求めることができる。デルタ航空は今後、48時間以上前に証明書の提出を求める方針だ。

 航空諮問委員会と乗客擁護団体の後押しで、米運輸省はサービスアニマルとコンフォートアニマルの定義の強化を検討してきたが、昨年の期限に間に合わせることができなかった。

 コンフォートアニマルの証明書に署名する医師に乗客の情緒的支援の必要性を判断する資格があるか確認する手段がないことも、航空各社にとって悩みの種だ。昨年、ロサンゼルスのテレビ局が行った潜入調査で、250米ドルを払えば犬がタダで飛行機に乗れるよう書類にサインしますよと女性に持ち掛けるカイロプラクターの存在が発覚した。

 動物に関する方針を見直しているというアメリカン航空とユナイテッド航空。両社とも、2016年以降情緒的サポートアニマルの数が激増したと発表している。

By DAVID KOENIG, Dallas (AP)
Translated by Naoko Nozawa

Text by AP

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