タオルがオプションも すべて客が選ぶ格安シンプルホテルが世界で人気に

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 ホテルに宿泊すると様々なサービスが提供されるが、実は多くは必要ないサービスだったと感じる人は、案外多いのではないだろうか。無くても困らないものを外し、ゲストが求めるもののみを提供するという、ノーフリル・ホテル(no-frills=飾りのない、実質本位の)が今見直されている。

◆サービスも過剰なら負担?ゲストの意識に変化
 出張で世界中の一流ホテルに宿泊したというフィナンシャル・タイムズ紙(FT)のマイケル・スカピンカー氏は、どのホテルも素晴らしく快適だったが、どっしりした肘掛け椅子、枕元に置かれたチョコレート、翌日の天気予報が書かれた紙、ベッドを整えてくれる夕方のターンダウンサービスなどは、果たして必要なのかと疑問を呈す。ホテルの部屋ですることは、シャワーを浴びて夕食の前に着替えをし、就寝前にその日のニュースをざっと見る程度だと同氏は述べ、ビジネス用途ではそれ以上のサービスがあるホテルは必要ないとしている。

 カナダのナショナル・ポスト紙は、風呂用の執事からペットのコンシェルジュまで、唖然とするようなアメニティやサービスを加えるホテルが世界中で増えているが、それと並行して、必要最低限までサービスを削ぎ落した真逆のホテルがトレンドとなっていると述べている。

◆格安航空会社並み?アラカルトで選べるサービス
 アジアとイギリスで展開するマレーシアのホテルチェーン、チューン・ホテルでは、部屋の清掃、チェックインとチェックアウト時間の変更、テレビ、Wi-Fi、タオルやアメニティ、ドライヤー、セーフティボックスなどは、有料で追加するシステムだ。ナショナル・ポスト紙は、多くのホテルがゲストは「少しずつ出費をさせられる」ことに抵抗があると考えており、そのため朝食やミニバーなどを部屋全体のコストに含めていると説明する。しかし、チューン・ホテルなどのバジェットホテルは、ゲストに選択権があり、いくつかのサービスを追加しても普通のホテルより安いため、支持されていると見ている。

 格安航空会社のイージージェットがヨーロッパと中東で展開するイージーホテルでは、テレビ、Wi-Fi、荷物保管は有料だ。英大衆紙サンによれば、ロンドンの同ホテルでは、1ポンド(約150円)の追加料金で、窓なしの部屋にバッキンガム宮殿などの観光名所の「偽の景色」を壁に貼り付けることができるという。窓付きの部屋ももちろんあるが、見えるのは交通量の多い道路とのことで、1泊19.99ポンド(約3000円)からという安さを考えれば、1ポンドの投資はありかもしれない。

◆安かろう、悪かろうではない。ニーズに応えたスリムなサービスとは?
 フランスのホテルチェーン、アコーホテルズの共同創始者、ポール・ドブルー氏は、コストを下げつつ客が必要なものを残すのがノーフリル・ホテルの考え方だと、1980年代後半に述べている。1995年にツーリズム・マネージメント・ジャーナルに掲載された記事には、当時開発中のバジェットホテルのスタイルは、「より洗練され要求の高い顧客のために注意深くデザインされた商品・サービスコンセプト」を持つ、「新しいホスピタリティ提供のコンセプトを提示する」ものとされていた(FT)。

 FTのスカピンカー氏は、世の中にはいまだに擦り切れたカーペットや傷だらけの寝台、古臭い茶色で統一された装飾を残すホテルも多いが、ノーフリル・ホテルは、高級ホテルの使い古しバージョンであってはならないとし、特にビジネス利用の場合は、4つの項目を満たすべきとしている。

 1つ目は、清潔さだ。無駄がないということは、徹底してきれいという意味でもあり、優良なローコストホテルのシーツは、氷河のように真っ白だと述べている。2つ目はセキュリティだ。スタッフの人数が少ないことで、ゲストを不安にさせてはいけないと述べ、いくつかのホテルチェーンでは、建物の入り口へのアクセス用に、部屋のカードキーを使うことで部外者の侵入を防いでいると説明している。3つ目は朝食で、ホテル内か隣接するカフェで取れるようにすべきだとしている。食器は使い捨てではなく、きちんと陶器を使用し、シリアル、ジュース、コーヒー、パン、チーズや卵などの簡単なものでよいと述べている。

 最後に上げられたのは、信頼できるインターネット接続だ。FTの2000年の記事によれば、企業は出張でスタッフをバジェットホテルに宿泊させることに慎重で、その理由が、「ファックス、室内電話、モデムがない可能性があるから」とのことだった。同氏は、今日必要なのは高速で確かなWi-Fiだけだと述べる。また、ホテルの周りのジョギングルートやレストラン、今日何が劇場で上演されるのかまで、グーグルを使えばすべて分かってしまうと述べ、もはや高級ホテルの定番である、コンシェルジュさえ必要ないとしている。

Text by 山川真智子

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