スターリンクに挑戦、アマゾンが初の衛星打ち上げ 「カイパー計画」の今後は?
アマゾンが初となる衛星インターネットサービスの試験衛星の打ち上げに成功した。その背景、今後の見通しはどのようなものか。
◆アマゾン、宇宙ネット事業の第一歩を始動
アマゾンは10月6日、宇宙インターネット事業「カイパー計画」の第一歩を始動すべく、初となる試験的な人工衛星2機(KuiperSat-1とKuiperSat-2)を打ち上げた。打ち上げには、United Launch Alliance(ULA)のアトラスVロケットが使われた。打ち上げからおおよそ40分後に、2機の衛星との通信が確認でき、打ち上げは成功となった。
アマゾンが目指す宇宙インターネット事業は、宇宙をベースとしてインターネットサービスを地球上へ提供することにある。高度1000キロ以下の地球低軌道(LEO)と呼ばれる宇宙空間に今後6年間で3200基以上の衛星群を形成することで実現しようとしている。
◆宇宙ネット事業はどんなメリットがあるのか
宇宙インターネット事業はどのようなメリットがあるのだろうか。世界中にインターネット環境を提供できる点が挙げられる。世界にはインターネットにアクセスできない人口が、2021 年の時点で約30億人も存在すると言われている。その解決策の一つとして地上、地下、海底へ光ファイバーケーブルを敷設する策も挙げられるが、膨大な時間とコストなどを理由に世界の特定の地域にまでまだ達していないのが実情だ。宇宙からインターネットサービスを提供することでこのインターネット難民をなくすことができ、その地域に新たな事業や取り組みを生み出せる可能性があるのだ。
しかしデメリットもある。それは宇宙ゴミの問題だ。廃棄されるインターネット衛星が増えれば増えるほど、悲惨な衝突事故が発生する可能性が高まり、問題はさらに悪化してしまう。さらに、地球からの視野が衛星群によって遮られてしまうため、天体観測にも悪影響を与えてしまうことも問題視されている。
◆アマゾンの宇宙ネット事業の計画はなぜ遅れたのか
アマゾンの宇宙インターネット事業は、以前から開始していた。しかし、衛星の打ち上げは今回が初めてとなり計画が大幅に遅れていた。その理由に、アマゾンが自社独自のロケットを持ち合わせていないことが挙げられる。独自ロケットであるニューグレンロケットなどの構想はあるもののまだファーストロンチも実現していない状況だ。費用対効果の高いロケットとしてスペースXのファルコン9などのロケットの使用も検討されたようだが、宇宙インターネット事業の競合となりうる企業への発注はためらいがあったのだろうと推測されている。このことは、「最も基本的な受託者責任を意識的かつ意図的に違反した」と株主らから訴訟を受ける事態にまで発展している。(CNN)
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