メタの新SNS「スレッズ」の新たな可能性、残る課題とは

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◆コンテンツ・モデレーションやプライバシーの課題は残る
 先述のニュートンは、インスタグラムのコンテンツ・モデレーションを評価しているが、分散型SNSのスレッズに対してはリスクを指摘する。モッセーリの説明によれば、現状はメタがサーバーを管理しており、スレッズのコンテンツ・モデレーションは、インスタグラムの規定に沿ったものになっているという。アクティビティパブでは、スレッズなどのサービス提供者がコンテンツをブロックできるような権限持たせているとのことだが、今後、スレッズのコンテンツが有害なものを含む可能性もありそうだ。

 また、個人情報の扱いに関しても課題はある。実際、個人情報の扱いに関して、メタは欧州からの了承を得ることができず、欧州ではスレッズのロンチが先送りとなった。欧州では、特定の個人情報の使用に関しては、ユーザーからの明確な了承を得ることが求められている。

 イーロン・マスクがツイッターを買収してから、サービス内容にさまざまな変更があり、ジャーナリストや著名人を含む一部のツイッターユーザーたちは、オルタナティブな選択肢を模索している。ロンチから数日の間に、スレッズの登録者数は1億人を超えたが、インスタグラムの20億人(月間アクティブユーザー数)から比較するとまだ小さなネットワークだ。一方で、ツイッターの月間アクティブユーザー数は約2.4億人。スレッズが今後さらにユーザー数を拡大させることで、ツイッターのユーザー数を追い抜く可能性は十分ある。

 スレッズがよりクリエイティブで、安全なコミュニティとなりうるか。スレッズの動向は、SNSの今後を考える上で無視できない存在だ。

Text by MAKI NAKATA