宇宙船スターシップ、打ち上げ失敗でもなぜ賞賛されているのか?

打ち上げられたスペースXのスターシップ(4月20日)|Eric Gay / AP Photo

◆打ち上げ失敗でも賞賛されている理由は?
 一般的に、ロケットの打ち上げが失敗すれば批判されるのが通例だ。しかし、今回は宇宙機関などのトップを中心に賞賛するメッセージが多い。

 米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官はスターシップの初となるスーパーヘビーロケットとスターシップの統合打ち上げテストの実施を評価し「おめでとう」とツイート。

 欧州宇宙機関(ESA)のジョセフ・アシュバッハー長官はそもそもスーパーヘビーロケットでスターシップの統合システムでリフトオフを実現したことを評価。

 さらには、米航空宇宙学会(AIAA)のエグゼクティブディレクターでNASA元職員のダン ダンバッカー氏は、人類が未来永劫、地球外で生活し、働く人類の未来を加速させている第一歩だと大絶賛している(スペース・ニュース)。

◆スターシップは今後何をもたらすのか
 このように、宇宙機関のトップらが、打ち上げ失敗の結果にもスペースXの果敢なリスクテイクと新しい未来への大きな一歩を踏み出したことを高く評価している。その理由は、スターシップは地球を越えた惑星の探査、惑星間の移動に不可欠なものであり、商用衛星、科学衛星などのさまざまなミッションに対しても完全に再利用可能なロケットとして新しい境地を切り開くものだからだ。

 イーロンマスク自身も今回の失敗を受けて数ヶ月後の次の打ち上げに向けて多くの教訓を得たと前向きなコメントを発表している。

 人類の未来において、スターシップは地球の外での活動を実現するための歴史的な第一歩という評価、認識が高いことが伺える。

Text by 齊田興哉