AIで描いた絵がコンテストで優勝 論争も、広がるAIアートの可能性

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◆AIアートの可能性
 「AIアートを使って、ある種の意思表示をしたいという狙いがあった。そしてそれを達成することができた」とアレンは語っている。彼自身、自分をアーティストとは名乗っていない。一方で、彼はクリエイターであることは間違いない。最終的に出品した3作品ができるまでに、AIが絵を生成するためのキーワードや文章(コマンド)作成に思考を凝らしたようだ。アレンは作品作りに80時間費やし、900以上の選択肢のなかから3作品を選び、キャンバスに印刷して出品したという。

 アーティストではないアレンが、AIアートの制作を始めたのは今年に入ってからだ。インタビューで、AIアートをSNSで見かけるようになって当初は無視していたが、今までに見たことのないようなアートが出てくるようになって遂に無視できなくなったと語っている。また、当初は自分もあまりいい気持ちがしなかったという。その意味において、今回の優勝作品に対する人々の不安や怒りの気持ちに共感できるとも語っている。

 今回の作品は「宇宙のオペラ座(Space Opera Theatre)」というより大きなプロジェクトの一部であり、全体が完成した後は、AIの制作に使用したコマンドも公開する予定とのことだ。また自身のウェブサイトでは今後、アートや関連商品の販売も行っていく計画のようだ。

 AIアートを生成するツールはミッドジャーニー以外にも、「DALL・E 2(ダリ・ツー)」やグーグルの「Imagen」をはじめ、さまざまな選択肢が広がっている。筆者もミッドジャーニーやダリ・ツーを使用してみたが、一発で素晴らしい作品が生成できるというものではない。技術的な課題もあるが、アレンが試行錯誤を繰り返したように、画像を描写する適切な文章を入力するという人間的なクリエイティビティも求められるのが事実だ。単に機械が人間の創造性に置き換わるという単純なものではないようだ。

 今後、アレンのようなクリエイターがAIジェネレーターを活用することによって、そして技術がさらに進歩することによって、新たな作品やビジネスが生まれる可能性が大いにありそうだ。

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Text by MAKI NAKATA