太陽が死んだ後、太陽系はどうなるのか? 6000光年先の惑星が示すもの

白色矮星を周回する木星のような惑星(アーティストによる描写)|W. M. Keck Observatory / Adam Makarenko

◆太陽系に当てはめると
 地球から遠く離れた星についての発見ではあるが、ブラックマン氏ら研究チームはこのパターンを太陽系にも当てはめることができる可能性があると考えている。太陽もいずれ水素を使い切って赤色巨星への道をたどると考えられているが、太陽から遠い軌道を回る木星や土星などの惑星はこの時、巻き込まれて消滅せずに生き延びる可能性があるという。

 氏は「この証拠は、十分に遠い距離を周回する複数の惑星が、星(主星)の死後も存続する可能性があることを示すものです」「この星系が私たちの太陽系に似ていることを踏まえると、太陽が核燃料(核反応に必要な水素)を使い切って自滅する赤色巨星の段階で、木星と土星が生き延びることを示しています」と述べている。

◆地球の運命は
 しかし、残念なことに地球は太陽とともに生涯を終えることになるかもしれない。論文の共著者でもあるNASAゴダード宇宙飛行センターのデイヴィッド・ベネット研究員は、「太陽からかなり近いことから、地球の将来はそうバラ色ではないかもしれません」と述べる。仮に地球から木星や土星への移住を試みたとしても、熱の問題が立ちはだかるという。太陽の膨張で地球は超高温となるが、反面、木星や土星は太陽から遠すぎるため、適切な熱エネルギーを享受できなくなってしまう。とはいえ、太陽はあと50億年程度輝き続けるとされており、直近で心配する必要はなさそうだ。

 6000光年彼方の惑星を観測する今回の研究は、ケック天文台が所有する高性能の観測装置によって可能となった。マウナケア山頂といっても大気の存在により、解像度は10分の1程度にまで劣化する。今回用いられた望遠鏡はレーザーガイド星補償光学システムを備え、人工のガイド星の位置を基準としてこの揺らぎを補正する。ただし、これでも十分な解像度が得られないため、重力マイクロレンズ現象の助けを借りることで精度を向上した。地球から見て2つの恒星が重なるとき、前方の恒星の重力が凸レンズの役割を果たし、後方の恒星の光が増光される。こうして観測された微かな光が、太陽系の未来を占う手がかりとなった。

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Text by 青葉やまと