フォロワー9000万人のトランプ氏のツイ垢、特例消滅でどうなるのか?

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◆今後は特例不適応 垢バンはあるのか?
 ただし、トランプ氏がツイッターで発言を続けられるのは、プラットフォームから追放されないことが前提だとマッシャブルは述べる。政府のアカウントではないものの、トランプ氏の個人アカウントは米大統領のものであることは確認されていたため、これまでツイッター社は一般人なら削除やアカウント停止の対象となるようなコメントを、公共の利益になるという理由で表示してきた。

 しかし目に余るようなコメントも多く、今年になって、ツイッター社はトランプ氏のツイートを和らげる対策を取り始めた。コロナウイルスについての誤情報には警告ラベルをつけ、郵便投票や選挙の不正に関する嘘には注意書きや正しい情報のリンクを貼ったりした。

 大統領退任後はトランプ氏に対する例外措置は適応されないため、不適切な発言があっても個人アカウントを守る必要はなくなる。しかしツイッター社は、トランプ氏のアカウントの処遇をめぐって頭を悩ませているとアトランティック誌は述べる。追放すれば右派の多くから攻撃的な政治的行為と見られ、トランプ氏とサポーターはメインストリームからチェックできないネットのより閉鎖的な場所に向かい間違いや嘘をまき散らすかもしれない。しかしこのまま危険な誤情報をまき散らすことを許容するのも偽善的で、企業イメージを悪くするとも述べている。

◆落としどころは共存? 排除できない大人の理由
 ツイッター社がトランプ氏のアカウントを停止することを期待する識者もいるが、それは難しいと見られている。アトランティック誌は、そもそもトランプ氏のツイートがとんでもないとされたのは同氏が大統領であったからで、一般人の発する「間抜け」「インチキ野郎」といったコメントは、明らかな誹謗中傷でない限り取り締まられることはないと述べる。

 よって同誌は、ツイッター社がトランプ氏を排除するとすれば、それは同氏が明らかに暴力を煽る、目下の脅威になるような発言をしたときだと見ている。実際9000万人近くのフォロワーを持つ同氏の存在感は大きく、これほどの大物を追放してしまえば、ほかの問題アカウントの停止措置も行わざるを得ず、下流効果が大きすぎると説明している。

 ロサンゼルス・タイムズ紙(LAT)は、トランプ氏はこれまでも削除やアカウント凍結すれすれで発言を止めており、2024年大統領選の再出馬も噂されるなか、積極的にツイッター社がこの問題に取り組むことはないだろうという専門家の意見を紹介した。

 ソーシャルメディア調査研究所のイボンヌ・マルハーン氏は、ソーシャルメディアにとってトランプ氏は稼ぐ手助けになっていると指摘する。結局ソーシャルメディアの運営企業はトランプ氏の検閲をためらうだろうと述べ、1月20日以降もトランプ氏のツイートの嵐は続くだろうと見ている(LAT)。

Text by 山川 真智子