誤情報拡散で民主主義の危機? バイデン政権「SNS規制」の可能性
◆バノン氏の斬首発言「一線を越えていない」
ソーシャルメディア上の発言に関して、アメリカで最近とくに大きな問題となったのは、トランプ大統領の元首席戦略官で、今年詐欺容疑で逮捕されたスティーブ・バノン氏(現在保釈中)が、自身のポドキャストで、国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長と、連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官の斬首を呼びかけた動画をフェイスブックとツイッター、ユーチューブに投稿した件だ。
情報サイト『The Wrap』によると、問題の動画投稿後、ツイッターはすぐにバノン氏のアカウントを永久凍結し、ユーチューブも件のビデオを削除して同氏の投稿を1週間停止する措置をとった。しかし、フェイスブックは問題のビデオを削除したものの、バノン氏のアカウント凍結や、投稿停止などの処分はしなかった。CNBC(電子版)によると、CEOのマーク・ザッカーバーグは、バノン氏の発言について、「私たちには、アカウントを完全に削除する前に何度ポリシー違反をするかについての特定のルールがある」「(バノン氏の動画は)その一線の近くに来たものの、明らかに越えなかった」として、バノン氏のアカウントを継続する考えを示した。
トランプ氏は今回選挙で敗北し、必死の抵抗を続けているものの、来年1月20日には任期終了となり「前大統領」として一市民に戻ることになる。同氏が現在ツイッターなどで享受している「特権」も同日に終わり、今後ルールを破った場合はアカウント停止になる可能性もある。
ソーシャルメディアに何らかの規制をかけない限り、虚偽情報拡散は今後も増え続け、アメリカという国家と民主主義を根底から揺るがす結果になるであろうことは、今回の大統領選を見ても明らかである。バイデン氏が大統領就任後、「言論の自由」を脅かさない範囲で、他人や社会、そして国の安全を脅かす発言や情報の拡散を規制する法を設ける可能性も高いだろう。
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