「水素飛行機」5人乗り、航続距離600キロ 認可までは長い道のり

AP Photo / Marcio Jose Sanchez

 水素を燃料としたスマートなデザインの新しい電動機体がタクシー、貨物の運搬、さらには空の救急車として将来活躍する日がやってくることに大きな期待を抱く企業がある。しかし、専門家によるとこの機体の運行認可には規制上の数多くの問題があり、解決には何年もかかるという。

 上部に6つのローターを備え、内部に乗客5人用の座席を配置した機体「スカイ」が5月29日、ロサンゼルス近郊で発表された。スカイは、特大サイズのドローンと高級SUVのデザインを兼ね備えた外観を持つ。

 アラカイ・テクノロジーズが発表したこのドローンのような機体は、垂直に離着陸することができる。業界団体のバーティカルフライトソサエティによると、今年、テスト飛行に成功したボーイング製とエアバス製のプロトタイプを含め、数多くの類似の電動旅客機体が既に生産されており、スカイもその1つであるという。

                                                                                                                 

 それら機体の大半は動力源としてバッテリーを搭載しており、重量の増加が否めない。しかし、アラカイ・テクノロジーズによると、スカイはバッテリーの代わりに非常に軽量な水素燃料電池を使ってローターを駆動し、最大航続距離は400マイル(644km)を誇り、合計で最大重量1,000ポンド(454kg)の乗客と貨物を運搬することができるという。

 同社のCEOであるステファン・ハンベイ氏は、バッテリーの代わりに水素燃料電池を採用した理由について、「我々が必要とする最大積載量と最大航続距離は、どのようなバッテリーを用いても十分に実現することができなかった」と語る。

 アラカイ・テクノロジーズは、マサチューセッツ州にある本社の近くでテスト飛行を計画しているという。

 現在は、スカイ機内に搭乗するパイロットが1組のジョイスティックを使って機体を操縦するが、最終的には機体の遠隔操作や自律飛行さえ可能にするテクノロジーを既に開発済みであるとハンベイ氏は述べている。

 アメリカ連邦航空局(FAA)による規則の遵守を支援する法律事務所、ドーシー・アンド・ホイットニーのパートナー弁護士であるサディウス・ライトフット氏は、FAAが旅客機の自律飛行を許可するにはあと何年も必要とするだろうと語る。

 アメリカでは、愛好家や映画製作者が飛ばす重量約50ポンド(約23kg)以下の小型ドローンが急増しており、規制当局は依然それらの小型ドローン規制に取り組んでいる最中だ。今年、FAAは小型ドローンを群衆の頭上や夜間に飛ばす際の規制を緩和したばかりである。

 ライトフット氏は、スカイのようなドローンに類似した乗り物は、他の一般的な飛行機と同様にまずは十分な耐空性を証明する必要があり、その後また別の複雑な手続きを経て商用飛行の認証を獲得することが必要となると語る。

「このテクノロジーは非常に興味深い。しかし、数々の規制に適合していく道のりはとても長い」とライトフット氏は言う。さらに、パイロットが同乗せずに旅客運搬を目的として大型航空機を運行するのを認可するという発想は、「現在想定している規制の範疇を大きく逸脱したもの」であると語る。

 ハンベイ氏は、電動機体を使って数々の主要都市を結び、時速120マイル(約193km)で旅客を運搬する構想を抱いている。同時に、アラカイ・テクノロジーズがこの構想を実現するには少なくとも10年の歳月を必要とする可能性があることを認めた。

 また、同氏はスカイで旅客を運搬できるようになる前に、都市のインフラ破壊につながるハリケーンや山火事などの災害が発生した際に、救助隊が食料や飲料水を被災地域へ輸送するためにスカイを活用して欲しいと望んでいる。空飛ぶ救急車や人々の避難を助ける乗り物としてスカイを利用できる上、スカイに送信機を搭載して飛ばして近くにホバリングさせておけば、移動式の携帯電話基地局として最大10時間もの間、通信サービスを提供することができると語る。

By CHRISTOPHER WEBER Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP