時速600キロ、中国でリニアの試作車が公開 日本のカモノハシ型とは異なる形状
◆国内外の競合多く
新技術を盛り込んだリニアだが、各種の競争に晒されるものとの見方が早くも広まっている。米CNNは、最高速度600キロを実現するプロトタイプが完成したと報じ、その速度を強調している。既存の高速鉄道が5.5時間かけて運行している北京・上海間は、3.5時間にまで短縮する見込みだ。一方でCNNは、600キロ達成は中国が初ではないとも指摘する。日本はすでに2015年の時点で、山梨の実験線において時速603キロでの試験運転に成功し、世界記録を樹立している。
このような国際競争に加え、中国国内では航空産業がライバルとして立ちはだかる。既存の高速鉄道と空路の隙間を埋める存在と期待されているものの、パイの奪い合いは必至だ。中国・香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)は、空港での待機時間も含めると、北京・上海間の所要時間でリニアの方が1時間ほど有利か、との見方を紹介している。
鉄路との競合も懸念点の一つだ。同紙によると、中国国内ではリニア開発に関し、議論が絶えなかった。2000年台前半までは、技術面・運用面で実績のある既存の高速鉄道を拡充した方が良いとの考え方がおもに政府関係者内で主流だった。リニア開発への方向転換が好判断だったかの判断は、営業運転開始後の安定性を見てからになりそうだ。
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