ロボットが畑監視、除草、肥料やり 英スタートアップが農家で試験
物価が変動を続け、効率の向上や環境への配慮を強いられる中、農家を営むジェイミー・バトラー氏はイギリス・ハンプシャー州の片田舎に構える450エーカーの畑に、新たな作業員を試験的に迎え入れている。
その作業員はバトラー氏の畑に育つ冬小麦を入念に点検し、雑草や害虫を探して回るが、一言も文句を言わないどころか、汗をかきもしない。なぜならこの作業員というのは、GPS、人工知能、スマートフォンの技術を駆使して畑の情報をデジタル処理し、マッピングすることができる、「トム」という名の四輪ロボットだからだ。
トムを製造した企業、スモール・ロボット・カンパニーは、流行りの「アグリテック」事業を扱うスタートアップ企業の1つであり、常に安い食品を提供してほしいという市場のニーズ、世界的な人口増加、先の読めない気候変動を背景に経済的な負担を強いられている業界において、生産活動に変化をもたらそうと取り組みを進めている。大半のロボットはまだ試験段階を脱していないが、製造工場から農村部へと普及するまでの展望が、少しずつ明確になりつつある。
1年間の試験導入には20件の農家が参加しており、その中の1人であるバトラー氏は「最先端の技術を1つの手段として導入することで、コストを徹底的に抑えることができたとすれば、それは本当に素晴らしいことだと心から思います」と述べた。
イギリスを拠点とする上述のスタートアップ企業は、来年、人工知能で制御されたもう2台のロボットの試験導入を計画している。この2台はトムと共に働き、種まき、肥料の注入、除草といった作業を自動で正確にこなす。
これは肥料と殺虫剤の使用量を劇的に減らすことで、苦境に立たされている農家の費用削減、収益増加の実現を目指すものだ。こうすることで経済的な効果が得られるだけでなく、農作業による環境への影響も抑えることができる。
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