「あとは社会が決めてくれる」遺伝子操作ベビーの科学者「責任感じている」

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「常識では考えられません…… 道徳的にも倫理的にも擁護しがたい人体実験です」と、遺伝子操作の権威で遺伝学雑誌の編集者を務めるペンシルベニア大学のキラン・ムスヌル博士は語った。

「あまりにも時期尚早です」と、カリフォルニア州にある非営利の医療研究施設スクリプス・トランスレーショナル科学研究所所長のエリック・トポル博士は語った。「私たちはヒトの操作指示書を取り扱っているのです。それは重要な問題です」

 しかし、著名な遺伝学者であるハーバード大学のジョージ・チャーチ教授は、「拡大している重大な公衆衛生の脅威」と自身が評するHIVに対抗するための遺伝子操作の試みを擁護し、その目的を「正当なものといえるでしょう」とした。

 近年、必要な遺伝子を供給したり問題を起こす遺伝子を無効化したりできるツールを用い、遺伝子(体を司るDNA鎖)を比較的容易に編集する方法が科学者によって発見された。

 最近になって、致死の病の治療を目的として成人に遺伝子操作を試みるようになったが、変化は被験者に限定される。精子、卵子、胚の場合はそれとは異なり、変化が遺伝する可能性があるため、アメリカでは研究以外に許可されていない。中国ではヒトのクローニングは違法だが、遺伝子操作は明確に禁止されていない。

 賀建奎氏はアメリカのライス大学とスタンフォード大学で学んだ後、深圳の南方科技大学に研究所を開設。ほか、深圳市内にジェネティクス企業を2社所有している。

 賀氏が中国へ帰国した後に今回のプロジェクトに参加したアメリカの科学者は、ライス大学で同氏の指導教官を務めた生物工学部のマイケル・ディーム教授だ。賀氏所有の2社で科学諮問委員を務めるディーム教授は、同社の「株を少しばかり」所有しているという。

Text by AP