グーグルの未来都市構想、「実験台になりたくない」現地で上がるプラバシーへの懸念
国民的な英雄と称えられているスマートフォンのパイオニア、ブラックベリーの元最高経営責任者であるジム・バルシリー氏は「トロント・ウォーターフロントの幹部や経営陣は、弄ばれていることに気付かないお人好しだ」と言い、連邦政府も委員会がこの計画を承認するよう強く推していると述べた。
「グーグルは、何が欲しいのかをわかっていた。そして政治家たちは単に目立ちたがるだけで、トロント・ウォーターフロントの役員たちはグーグルが何をしているのかを理解していなかった。結局、トロントとカナダの民衆が高い対価を支払うことになる」とバルシリー氏は語った。
提出された開発計画に対する苦情は、トロント・ウォーターフロントが市、州、さらに連邦政府を代表する公的機関に課せられるさらに大きな役割を確実に全うするため、提案への同意を再考するように駆り立てた。
現時点では、このプロジェクトはまだ初期の段階にとどまっている。さらに協議を重ねた後、開発者は来年初旬に正式な基本計画を発表する予定だ。
サイドウォーク・ラボの最高経営責任者、ダン・ドクトロフ氏は、路面電車が接近すると歩行者に注意を促すライトが点灯するような舗装を建設する構想を抱いている。フレキシブルな加熱式エンクロージャーはビル用の「レインコート」と呼ばれ、トロントの過酷な冬季の気象データに基づいて配備される予定だ。ロボットが廃棄物を分別するシステムは、ごみ箱が満杯になるのを検出し、アライグマが残飯を漁りにやってくる前に中身を取り除いてごみ箱を空にする。
「これらは、人々の暮らしの質を向上させるデータの素晴らしい利用方法だ。これが我々のやりたいことだ」とドクトロフ氏は言った。
サイドウォーク・ラボの開発計画推進資料は、「デジタル技術とデータによって強化され、同時に、誰にとっても然るべきプライバシーとセキュリティーが確保されている場所」の提供を約束している。
ドクトロフ氏によれば、サイドウォーク・ラボは、今日グーグルが検索に使われた情報から個人情報を抜き出して収益につなげているのと同じ方法をとるつもりはなく、同社は、あらゆる市場で展開可能なこれまでに類のない製品やサービスを発明するつもりだという。
ドクトロフ氏はデータに関する懸念にも触れ、「我々がアルファベットやグーグルと親密な関係にあるため、人々は、いずれにせよデータは流用されるのだろうとごく自然に仮定している。だが我々はデータについては一切語っていない」と述べ、「正直なところ、我々にもう少し時間を与えてほしい。気長に待って欲しい」と訴えた。
しかし、この釈明は、トロントの著名なデザイナーであり、プロジェクトの終了後にトロント・ウォーターフロントを辞めたジュリー・ディ・ロレンゾ氏にとっては十分ではなかった。ディ・ロレンゾ氏は、データ、およびそのデータを使ってグーグルがやりたいことを議論の中心に置くべきだと語った。また、同氏は、政府当局者がグーグルの系列会社に対し、プロジェクトの進行に関わる権力を与え過ぎたと考えている。